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第162話

「パットだけで大丈夫だな、」 と、車の後部座席でシバのズボンをぬがして 下着の中覗き込むと パットだけ抜けば大丈夫そうだったから シートにバスタオルを敷いて パンツを下ろして パットを抜くとむわ、とアルコールの匂いがした 「酒飲んだの?」 『お猪口1杯だけ。美味しいやつ持ってきてくれたんだって。酒屋さん』 「酔ってない?」 『うん、もう大丈夫。ぜんぶ、だしたし』 「そっか」 と、おしりふきで拭いて 新しいパットを付けようと おもらしセットを取り出した所で気付いた やっべええ、パット、大容量吸収のやつこれ最後だったじゃん もう薄いやつしかねえし これ何枚もいれるとおむつ以上にもこもこすんだよなあ、 これから車で帰る長旅なのに… しかももう冷めたと言ってるがシバは酒飲んでるし…… 「シバ、これから車で帰るからおむつに替えようか」 と、提案をする テープタイプしかないから 途中トイレ行った時おしっこさせにくいという不便さはあるが まぁ、もしもの事を考えたら安全策だとおもった しかし 『やだ、おれもうおむつはかない』 「…ええ、なんで?」 『おれは、赤ちゃんじゃねえもん。赤ちゃん…おむつ、仕事だって』 と、シバの言葉で思いだす 病院で兄貴の言ってた言葉を うっわあ、タイミング悪ぃ… シバがおむつ履きたがらないこと結構あるけど 今は正直、おむつ履かせてやりたかった 「シバ、行きの車で分かったと思うけど結構時間かかるぞ」 『べつに平気。もうわざとおしっこしないし』 「いや、でも…すぐトイレ行けねえかもよ?朝はおもらししちゃったし。それに車だから俺しかいないし」 『…なんで?でも、おれ、おまえに赤ちゃんっておもわれたくないから、』 と、今日は絶対おむつは履きたくないんだと理解する 「じゃあパット薄いのしか無いけどそれ入れるから。おしっこしたくなったら早めに言おうな。初詣のときは早く言えて間に合ったから」 というと うん、とシバは頷いて 薄い方のパットを入れパンツを上まで上げる シバのおもらしセットを片付けていると おねしょマットがあることを思いだす 「……、シバ、車のシートにマット敷いといていいか?シバこの前車濡らしちゃって悲しくなっただろ?それ敷いとけばシバ安心して寝られるし」 と、いうとシバは頷いて 少し安心して おねしょマットを助手席のシートの上に敷いてからシバが座る 『これ、ふかふかしていい』 「そうか?よかった」 案外座り心地もいいらしい 「よし、帰るかー、シバ、里帰りに付き合ってくれてありがとな。町内会の集まりも付きあせちまったし」 『ううん、楽しかった』 と、シバは気を使ってか分からないが言ってくれて 少し安心する 『んん、なんか寂しいね』 「そうか?」 『みんな優しかったし』 「シバさえ良ければまた一緒に行こ。みんなシバの事待ってると思うし。母さんもまた来てって言ってたし」 『へへ、いいんだ、またきても』 と、シバは笑いながらも眠そうに言った ◇◆ 外はもう暗い時間で 15分ほど車を走らせ高速に乗る頃にはシバは眠っていた 外は暗いし酒も飲んでいるからから眠くなったのか、それとも単純に疲れたのか わからないけどすぴすぴと小さく鼻を鳴らして眠っているシバ 最初のサービスエリアが見えた頃には そろそろ30分くらいという所で トイレに寄るか迷う、 シバは気持ちよさそうに眠っているし きっと起こしても眠さが勝ってトイレに行かない気もする それならもうちょい、1時間弱くらい走らせてから起こしてトイレに行かせた方がいいと踏んで 最初のサービスエリアはスルーして進む しかし、失敗した、と気付いたのはそれからさらに20分ほど車を走らせた時だ 一向にサービスエリアが見当たらない、 そして、ようやく高速を降りる直前にサービスエリアを発見し もう間もなく高速を降りるというのに そこに寄ることにした 元旦の夜中という事もあり混んでなくて さっさと駐車場に止め シバの方を見ると シバは気持ちよさそうに寝ていて 焦っていたのはどうやら俺だけのようだ 『んん、ついた、?まだ、ねむい、』 と、車が止まったことに気付いたのか 目を擦って起きるシバ 「だいぶ帰ってきたよ。ちょっと休憩しよ」 と、いうとシバはおしりをもじりと動かす 「おしっこどう?」 『んんん、あったかくなってる、』 「あー、出てんのか」 おねしょしちまったか しかも温かいということは出て間もないという事だろう やっぱりさっきサービスエリア寄っとけばよかったな… 「シバ、パンツ濡れてる?替えに行こうなー」 『んん、やだ、んんー、もー、やだ』 トイレで替えるか、と手を伸ばし 後部座席のおもらしセットを手に取った と、寝起きな上に車でのおねしょに ぐずぐすとぐずっていて 『おしり、』 と、少しおしりを浮かせた時に気付いたようで 泣きそうな声を出した 前は濡れてなかったから気づかなかったけど シートベルトを 外して少しだけおしりを上げると おしりがまあるく濡れていて シバが座っていたところにもシバのおしりの大きさの丸いシミができている 「あー、漏れたか」 『きもちわるいぃ、もー、やだ、んんん、やだ、』 と、ぐずぐずとぐずって 泣いていてまたべしゃ、と濡れたおしりでおねしょマットの上に座る 本格的なおもらしの処理、車の中だと狭くてやりにくいんだよなあ… ちょっとおむつ替えたりぐらいならできるけど ただこんなおもらしした格好で歩かせられないしな、とため息を吐いて サンシェードをかける 「シバ。おしっこキレイにしようなあ」 『んん、や、』 と、首を横に振る 後部座席に移動して欲しかったが無理だろうな、と少し助手席のシートを後ろに下げる 助手席の窓は外から丸見えのガラスだ だから後部座席でいつもしていたけど この駐車場にはほとんど車は停まってないし人も少ない 見られることもないだろうと 車から降り助手席側にに回り、ドアを開け 助手席を後ろに下げスペースを確保する 「シバ、おズボン脱ごうなー」 と、ベルトを外すけどシバは ぐずぐず鼻を鳴らすだけで動かない 「ほら、シバ。おしり上げられるか?」 と、聞くけど ふるふると首を振る 「シバ、おしりキレイになったらよしよししてやるからちょっと頑張ろうな」 と、いうと おずおずとおしりを浮かせたから その隙にズボンとパンツをまとめて下ろして 「ほら、脚も抜いて」 と、靴も脱がせて 脚をもって引っ張って まとめて脚から抜くと ズボンとパンツは絡まってぐちゃぐちゃになってしまったが しょうがないからパットだけ抜いてそのまま袋にいれる 『おしっこ、』 「なに?出る?沢山?」 と、聞くと頷くから 急いで携帯トイレの封を開けてシバの先っぽに宛てがう 「ほら、シバ。おしっこしな」 『んん、できない、』 「したいんだろ。大丈夫だよ。しーって」 と、俺の言葉で触発されたのか ふるっと震えて 『んんっ、っぁ、ぁっ』 ちょろちょろとおしっこを漏らし始めた 薄めの袋がちょっとずつ重くなってきて 手を滑らさないよう気をつける 沢山出ると言っていたけど 良く考えれば今おねしょで沢山出したばっかりだ ちょぼちょぼ、と音をさせ 袋の1/4くらいだろうか おしっこを出し終わって身体を震わせる 『んん、さむい、』 「そうだよな、寒いから早く着替えような」 確かに俺が外に身体を半分出しているから 寒い さっさとおしりふきで拭いて おむつを取り出す 『や、おむつやだ、』 「ええ、寒いから早く履こうよ、シバ」 『やだ、おむつ、おれ、赤ちゃんじゃねえもん。やだ、』 そういや、赤ちゃん見てからシバはおむつ履くの嫌がるんだったと思い出す きっとこれ以上言っても赤ちゃんみたいぐずるから とりあえずパンツ、と適当に取り出したのがおねしょパンツだったからそれを脚から通す 「シバ、そしたらパンツにしようか」 と、聞くと頷くからすぐにパンツを履かせて 「ズボン濡れちゃったからスウェット履いとこうか?もう車で帰るだけだからその方が楽だろ?」 と、スウェットを履かす 『さむくなっちゃった、』 「そうだな、ちょっとあったかいもの買おうなー」 『よしよしは?』 「家帰ったらいっぱいしてやるから」 と、シバのお着替えを終わらせて 何かあったかいもの、と 店の中に入ってシバにココアを買う 「あ、豆乳貰ってきたから家でも豆乳ココアしようなー」 『おれあれすき、』 「うん。おれ飲めないからシバがんばって飲んで。捨てるの持ったいねえし」 『うん、』 と、シバはおれの事をじっと見る 「なに、どうした?」 と、聞くと 机を挟んで座っていたのに 俺の隣に移動してきてぴたりとくっつく 「どうした?さむい?」 と、聞くが首を振る 『んんん、はやく、かえりたい、』 「もうちょっとだぞ、もう高速降りるし降りたらすぐだろ?」 シバはすりすりと肩を揺らして俺にくっつく 『はやく、いっぱいだっこしたい、もうやだ、限界』 と、泣きそうなシバの背中を撫でた 寝る時とか ちょっとくっついたりしたりとかしてたけど 家族も他にもいっぱい人がいたから やっぱり帰省中はあんまり抱っこしてやったり くっつかなかったからな… それに俺の実家だったから 無意識に少し緊張してたんだろうし 寝起きな上に家が近くなり緊張が途切れたんだろう それによしよししてやるって言ってたのに 場所とかタイミングが悪くてずっとしていない そりゃぐずるか、と少し困る 「シバー、ごめんなー。明日もずっとよしよししてやるからもうちょっとだけ待ってな」 『んん、』 しかしシバはぐずぐずと鼻をすすっていて もう本当に限界で 「シバ、どうしたらやじゃない?」 『んん、わかんない』 と、首を振る シバもぐずっては居るが 今どうしようもできないことはわかっているのだろう 「そしたら急ご。もうトイレもどこも寄らないで帰るし」 『うん』 シバの手を引いて立ち上がると シバはすぐにぴたりとくっついてくるから さっさと車に乗って エンジンをかける 「シバー、家帰ったらずっと抱っこして、お風呂も一緒に入ろうなー。昨日も一昨日も一緒に風呂入れなかったし」 『うん…、お風呂で、いっぱいちゅうもして、』 「してやるよ、全身に、」 『…うん、』 「けど、」 『…けど?』 シートベルトをしてきょとん、とこっちを見る シバの首の後ろに手を回し引き寄せ そして、 くちゅ、とまず唇にキスをして舌を絡ませる そしてシバが驚いているうちににおでこにもキスしてシバの首を抑える手を離す 「先にキスだけしとくな、約束のキス」 『やくそく、』 「うん、家でシバの事抱っこしていっぱいよしよしして…お風呂でも全身にキスする約束」 『うん、やくそく』 さて、さっさと安全運転して帰って 約束守るか、と 少し気合を入れハンドルを握った

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