172 / 180

第172話

『どうしたの?起きないの?』 「んー、まだ眠いからおきねえ、…」 と、おれが起きたのに ずっと寝ていた 久々の休みだから起きてくれないみたいで 『おきてえ』 「わるい、もうちょい、」 と、揺すっても目が開かなくて、そのままうとうとと言った 『くがさーん、おれ、、』 おむつ濡れちゃってんのに、 いつもなら起きてくれんのに、と少し寂しくなったけど こいつも疲れてるからな、と我慢することにした 昨日もおれが寝たあと起きてなんかしてたみたいだし…、 あきらめて先にリビングに行って 朝ごはん食べよ、と 冷蔵庫を開けて栄養ゼリーを飲む じゅるる、とゼリーを一気に飲み込んで くがさん寝てて暇、と 特に見たいものがある訳じゃないけどテレビを付ける でもやっぱり1人でテレビ見てても寂しくて せっかく2人で休みなのに暇、と 1度寝室を覗くけど やっぱり寝ていた 『ねええ、だっこ』 と、ばふん、と上に乗っても起きてくれない 『なぁあ、おむつ、おむつ外して、おしっこしたくなってきたから』 「んん、おむつな、」 と、起き上がってくれてようやく起きた、と抱っこしてすりすりするけど すぐにごろん、と横にされて スウェットを脱がされる 「おお、いっぱい出てんな、おしりふきでいい?」 『…うん、』 おむつも開いて おれのちんちんも拭いてくれる 『なぁあ、だっこ』 「シバ、あと30分だけ寝させて。そしたら後はずっと抱っこするから」 『……うん、約束な』 「あぁ、約束。おむつ履く?」 『おれは起きるからパンツにする』 と、いうと昼間用のパンツを履かせてくれた んん、物足りない、 30分我慢しよ、と おむつを外してもらったら トイレに行っておしっこをして またテレビを見るとニュースがやっていた 昨日は成人の日だったらしい、とぼーっとテレビを見る 去年、おれ成人式だったけど行かなかったなー 去年はまだスーツとかあんまり着てなかったけど今はかっこいいスーツいっぱい買ってくれてるから普段の仕事の時に着ないやつ、なんかの機会に着たいけどなかなか機会がない チラッと寝室をまた覗いても寝ていて 疲れてんのかなって心配になった 『なぁ、疲れてんの?』 「んんー、ちょっとな…」 『何が食べたい?』 「ええ、……たつたあげ、」 なに、竜田揚げ? 唐揚げじゃないのか 竜田揚げかぁ、とレシピを調べてみたけどもちろんそんなの作れるはずが無くて じゃあ買いに行ってこよ、と 顔を洗って着替える 髪も整えて財布をポケットに入れて準備万端だ 『なぁあ、おれちょっと出かけてくるね、欲しいものあったらメールして』 と、寝ているくがさんに言って 「んん、」 と、返事したのを聞いてから家を出る 時間はもうすぐ10時でお店もそろそろ開くだろう そう言えば竜田揚げってどこに売ってるんだ、とすぐに携帯で調べると 都心駅の前の百貨店に売ってるらしくてそっちむかうか、と 駅に向かおうとしたけど 電車には乗りたくないな、と 都心駅の方まで歩く事にした 多分歩いても30分はかからないし 車で来ればよかったな、と思いつつも 天気がいいから歩くのも悪くないか、とちょっとしたお散歩気分で都心駅までのルートを道にある看板の地図で調べる 『よし、あっち』 ◇◆ 竜田揚げ見つけた、と 駅に着いて竜田揚げを買って携帯を見ると シバ今どこいんの? と、メールがきていて 特に欲しいものないのかな、と とりあえず携帯を閉じる なんか、結構歩いたし 百貨店の中暑くて喉乾いた、と思ったところで チェーンのカフェを見つけて ちょっと寄り道、とキャラメルマキアートを注文する 帰ったらちょうどお昼くらいだし あいつももう起きてるはず 飲み終わったら急いで帰ろ、と 少し急いでキャラメルマキアートを飲みきって 竜田揚げを持って 帰路についた 『外さむ、』 と、歩く足を早めた 歩き初めて20分くらいたった頃だろうか 外が寒かったせいか それともさっきキャラメルマキアート一気に飲んだからかな おしっこ、したい しかもかなり 周りに人がいなかったから とりあえずきゅっと先っぽを摘む 家まであと10分くらい とりあえず急ごう、と家の方面に向かっていたけど 家まで後ちょっとのローソンまで来た時に きゅうう、と膀胱が締め付けられる感じがして出ちゃいそうになって更に自分の中心を握り込む 歩けるだろうか、と不安になって 辺りを見回したらローソンがあるけど トイレ貸してくださいって言うのが恥ずかしいから コンビニは却下、と 駅とか公園とか探すけど見つけられなくて どうしよう、と足踏みをしている間に じわ、と先っぽが温かくなる 『おしっこ、、』 漏れちゃう、と 両手で強く握った時だ 進行方向から人が来るのが見えて 手を離さなきゃって思ったのに 今離したら出ちゃう事は分かりきっていて 急いで横の細い道に駆け込む 走ったから 一歩踏み出す度に 手の中で じょ、じょ、って水がこぼれる音がして 『っぁ、でちゃう、ぁっ、』 路地の奥に入った途端しゃがみ込んだけど そのままじゅううう、とこもった音がしておしりまで全部温かくなる そして、 昼間用のパンツの容量を超えてしまったのか 手の中が濡れて 『っぁ、っぅ、ぁあ、っはぁ、ぁ、』 ぴちゃ、びちゃびちゃ、と水の音が響く …どうしよう、漏れちゃった、 外なのに、 全部、でちゃった ズボンまで、びちゃびちゃになった、 『ぬれた、』 どうしよう、としゃがみ込んだまま 動けなくなってしまった 全部、濡れた パンツも、ズボンもびしゃびしゃになった、 どうしよう、と視界が歪んでくる 寒いから、濡れているおしりも手もどんどん冷たくなる びしゃびしゃのまんま、帰れない 大きい通りの方には人がいるから おれがおもらししたの、見られちゃう そのときだ、 ポケットに入れていた携帯が振動して ビクッと肩が震えた 携帯を取ろうとして手がびしゃびしゃな事に気付きとりあえずズボンで手を拭いて ポケットの中の携帯を取る 『あ、』 携帯に表示された 飼い主、という文字を見て 少しだけほっとすると同時に 一気に悲しくなる 『……もしもし、』 「おお、やっと出た。お前今どこいんの?」 『くがさ、ん、おれ、…』 「…どうした?」 『おしっこ、漏れちゃった、外で、……服もびしゃびしゃになった、』 「今どこ?」 『…コンビニ、ローソン、の近くの、細い道、』 「そっか、すぐ行くからちょい待ってろなー」 と、電話を切って 来てくれるって言ったけど 情けなくて悲しくなる 『…もー、やだ、』 ぐすん、と少しだけ鼻を啜る 寒い、冷たくなってきた あいつ疲れてるからな 役に経ちたかったのに。 おもらしして迎えに来てもらうなんて逆に迷惑かけてる なんでおれって、うまくできないんだろ

ともだちにシェアしよう!