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第175話(番外編 モブ視点)

俺はどこにでもいる普通の27歳会社員だ 新卒の頃からずっと清掃会社に務めていて 両親が今後高齢になる事を考え実家をバリアフリーにリフォームすると言う事で金が必要になり、転職を考えていたタイミングで異様に給料の高い清掃の仕事を見つけた よくよく求人内容を読んでみると おもらし風俗の本社の清掃の仕事で 専用の部屋のおもらしの片付けをする事もあり、給料がこの値段という事らしい いや、確かにおもらしの片付けとかやだしなー しかもなんだよ、おもらし風俗って しかも男専用って そんなの俺には全く理解できない世界だった だが、この給料はやっぱり魅力的で 面接に行ってみたら おもらし専用の部屋の片付けはまぁそんなに頻度も多くは無いらしく洗濯業者は別にいるとの事だった まぁ、トイレ掃除だって今まで普通にしてきたし… 手袋だなんだすればいいものだし 社長もいい人だし。 それになによりこの給料は魅力的で是非働きたいと思っていたら内定をいただき、無事この会社に就職する事になったのだ 普段はビル内の掃除をメインにして 元から言われていたおもらし専用の部屋の掃除をする事もやっぱりあった その部屋の掃除も何回かしに行っているうちにおもらしの片付けも慣れたし 大きい方じゃないならそんな抵抗はない しかし、 しかしだ 「……なんで、」 いや、片付けるけどさ。これも仕事だし。 片付けて欲しいところがあると言われて向かった先は3階トイレ付近の廊下 そしてそこに広がる生暖かそうな薄黄色の水たまり いや、なんで?なんでここにこんなものがあるんだ おもらしするのはあの専用の部屋だけじゃなかったのか、とため息を吐きながらも仕事だからその水たまりを片付け始める こういう謎の水たまりの処理はたまにあった 社長室付近の廊下や コスプレ倉庫、 そして仮眠室も片付けたことがある いや、なに?社員で下が緩いやつでもいんの? 仕事だから片付けるけどさ!といやいや片付けていたが ある日、 トイレ掃除をしていて個室を掃除していたら 足音が聞こえてきて 個室入るかな、と出ようとした時だ 『っぁっ、でちゃ、んんっ、』 と、トイレに駆け込んだ段階からそんな声と荒い息が漏れていて 思わず個室の扉を開けようとする手を止める バタバタと足踏みをする音 『っあっ、はぁっ、ぅあっで、でちゃ、っ』 そして、 トイレ内に響いた びしゃびしゃ、という水の音 いや、嘘だろ?まさか、 と、そっとドアの隙間から覗くと スーツを着た細身の男が はぁはぁ、と息を切らしながら 自分の股間を握りこんでいて そこからは大量に水が溢れ出していた 手で抑えているせいでびしゃびしゃに飛び散り そいつの下半身を濡らし 床に水たまりを作っていた 嘘だろ、大人が漏らしてる 『ぁっ、でちゃ、った、っ、』 はぁあ、と息を吐いた男の顔は びっくりするぐらいキレイで 潤んだ目や赤くなっている頬 そして乱れる息を吐き出す唇が無性に色っぽく見える そんな色っぽい男が下半身をびしょ濡れにして 子供みたいにおしっこ漏らしてしまっているなんて 『どう、しよ、…』 と、ぐすん、と鼻をすするのも かわいらしく見える そして間もなくして 男は びしゃびしゃと水たまりを広げながら手洗い場まで歩き手を洗ってポケットから携帯を取り出した そんな行動、 片付けるところが広がるからやめて欲しいのに 歩いた事で 後ろまでおしっこが広がって スーツのお尻の布地が濡れてピッタリとくっ付いているのが見えてしまいドキリ、とする 『なぁ、』 と、電話を耳に当てた男が 電話越しに誰かに話しかける 『いま、5階のトイレなんだけど、』 と、どうやら助けを呼ぶらしい 自分で片付けるのは不可能だと判断したようだ 一体誰に電話をしているのだろう そして、この状況をどう説明するのだろう、と少し息が上がってしまう 『おしっこ、もれちゃった…ぜんぶ、びしゃびしゃになった……きて、』 と、ありのままを素直に説明をする そしてその口調は多少幼さが滲み、 何か慣れのような物も感じ取れる まさか、よく漏らしてしまうのか? という事は、先日掃除した廊下も コスプレ倉庫も仮眠室も 犯人はぜんぶこの男という事なのだろうか そうこうしているうちに足音が近付いてきて 「シバ、大丈夫か?」 と、電話相手であろう声が聞こえて さっと個室の奥に隠れる 『……おれ、我慢できなかった、』 「すぐお着替えしような」 と、よくよく聞いてみると 社長の声という事がわかり もう一度そっと覗いてみると 社長がおもらしした男の下半身に大きなバスタオルを巻いていた その手つきも手馴れていて あの社内で時折見られる水たまりの犯人はこの男だと確信する そういや社長室の傍のリネン回収ボックスによく濡れたタオル出されてるよな 『どうしよ、びしゃびしゃにしちゃった、』 「清掃の人呼んどくから」 と、清掃の人がここで見ているとも知らず社長はその男に言って頭を撫でてやると 男はそのまま社長に抱きついた 社長はよしよし、とその男の頭を撫でたあと 涙が滲む目の端にキスを落として 社長はおもらしした男を抱き上げた そして、一瞬だが確かに バチッと社長の視線がこちらに突き刺さって ドキリ、と心臓が大きく鳴って 弁解しなければ、と何故か一瞬焦ってしまったが 社長はすぐに男を連れてトイレから出ていった そして間もなく仕事用の携帯がなる 「はい、」 「5階のトイレ、掃除頼んでいいか?」 「はい、かしこまりました」 と、ようやく個室から出てため息を吐いた 凄いものを見てしまった そして目の前に広がる出してまもないおしっこ 何故かその光景に心臓がドキドキと高鳴って トイレのドアの隙間から見た キレイな男がおもらしする姿がフラッシュバックする モップでその水分を拭き取ろうとして びしゃ、と水が音を立てた時に気付いた 自分の下半身が熱を持っていることを 「……嘘だろ、」 いや、まさか そんなはずない。 男が、おもらしする姿を見て勃起するなんて それ以来、 「おもらしの片付けですか、かしこまりました。コスプレ倉庫ですね。ドアが壊れた?修理の方も呼んでおきますね」 慣れている清掃の仕事な上に、 おもらしの片付けも出来てこの給料。 なんていい仕事だろう 今日も俺は嬉嬉としておもらしの片付けに向かうようになってしまった

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