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番外編 兄さんの為ならば *初めはバックです

「…異物感がすごい。」  素直な感想を口に出す。 「でしょうね。まあ、初めは皆そんなものよ。大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。」  オネエ口調で話すこいつは結城咲羅。兄さんの為に関係を持った人のうちの一人だ。性格は悪くないし、一緒にいて居心地が悪いわけでもないが、死体の処理や根回しを頼む代償に一晩寝ることを要求された。 「別に、痛かろうが苦しかろうが、傷がつこうが文句なんて言わないよ。」  痛くされても、苦しくされても、傷つけられてもいい。だって、兄さんも痛くて苦しかったはずだから。僕がのうのうと生活している間に、兄さんは沢山痛くて、苦しくて、辛い思いをしたはずだから。 「あら、酷くされたいの?」  きょとんとした顔で、結城が尋ねてくる。 「できれば、うんと酷く。」  自分の下に敷かれたベッドシーツから自分に跨っている結城に視線を移して答える。 「変わってる。」  ひどく呆れた顔で返される。 「だって、兄さんは痛かったはずだし、苦しかったはずだ。なら、僕もそれを感じたいし、分かりたい。それは、自然なことでしょ?」  僕は、兄さんのすべてを共有したいし、兄さんの幸せを守って生きたい。 「深いわねえ。まあ、いいわ。初めてだし優しくしてあげるつもりだったけど、お望み通り酷くしてあげる。後で文句言わないでよ?」  強く念を押される。 「言わないよ。それに、もう既に優しく挿れられちゃったし。」  結合部があるである方向に視線をやり、そしてベッドシーツの方へと戻す。 「まだまだこれからよ、秀ちゃんっ。」 「あ゛っ?」  妙に強まった語尾と同時に、中のモノを突き上げられる。腹の中に深く入り込んだそれに腸を殴られ、下腹部に痛みが走る。 「きっつ。流石に一発目では狭いわね。ま、その分締まりがよくて好いのだけれど…」  そんなことをぼやいている結城を他所に、一人思考を巡らせる。 (兄さんはきっと、もっと痛かったんだろうな。)  だって、きっと兄さんはろくに解してもらえることもなく挿れられていた。ならば、この程度の痛みより、よほど酷かったはずだ。 「じゃあ秀ちゃーん、動くわね。」 「ん、あ゛あ゛っ。」  腕を引かれて、再び突き上げられる。 「うわっ。これっ。痛っ、いっ。んっ。んんっ。」  不規則にやってくる刺激に、声が掠む。 「ふぁっ。」  突如、痛みの中に快楽が混じる。突然の事で、不本意ながらコイツの前で喘いでしまった。 「ここが気持ちいいのね。わかったっわ。」  その声を聞くと同時に、結城が楽しそうにそこを突き始める。初めは萎えきっていた僕のモノも、勃ちあがって芯を持ち始めていた。 「んっ。んんっ。んんんっ。んっ。んっ。ぁっ。んんっ。」  気持ちいい。もしかして、兄さんもこんな風に感じていたのだろうか。そして、憎んでいる相手からこんな風に感じさせられて、自分を責めたのだろうか。 「気持ちいいでしょ。そろそろイキそうになってるものね。でもね、だぁめ。」  絶頂の手前、モノに輪をはめられる。 「ぁっ。ちょっ。」 「でも私もイキそうだから、ちょっと待ってちょうだいね。」  荒い息で結城がそう言う。今更だが、こいつはずっと僕の事を性的な目で見ていたのだろうか。 「んっ。んんっ。んっ。んんんっ。」 「はっ。」  僕が欲を吐きだしきれないまま溜めている状態で、結城はイッた。 「じゃ、次ここ座ってちょうだい。」  モノを抜かれ、うつぶせの状態から結城の膝の上に座らせられる。 「別にゴムいらないわよね。じゃ、よろしく。」 「んんぁっ。」  再び、奥まで深く突き上げられる。今度は先程と違い、痛みより快楽の方が強い。 「んんっ。んんんっ。あっ。ふぅっ。んんんっ。」  情けなく声が漏れ出る。やばい。気持ちいい。 「ふぅっ。んんんっ。んんっ。」  しかも、先程よりも体勢的に深く入る。腸内のとっかかりに亀頭をひっかけられ、掻き回されて気持ちがいい。正直、理性が飛んでいきそうだ。 「んっ?んんっ。ふっ。んんんっ。んんっ。んぁん。んんんんんんんっ。」  波が大きくなり、絶頂する。が、何も漏れてはいない。 「もしかして、中でイッたの?あなた、こっちの方が才能あるんじゃない?」  結城がくすくすと笑いながらそう言う。 「んん?まあ、もし才能があるんなら、いつか兄さんとシてみたい欲はあるけど…」  兄さんにはいつも負担をかけてばかりだ。それに、正直兄さんに犯されたい願望がある。 「あら、最中に他の男の名前を出すの?」  結城がそう僕の耳元で囁く。瞬間、今までで一番奥の方まで突き上げられた。 「んんんんん!?」 「ほらほら、頑張って。」  そんなことを言いながら、楽しそうに僕を持ち上げては下に落とす。 「んっ。ひっ。ああっ。んんんっ。んんっ。」  結局、次の日の朝まで抱かれた(兄さんは部活の合宿だとかで今日は家にいない)。 「…僕から酷くしてとか言ってておいてなんだけど、お前絶倫すぎない?」  そこら中に散らばっていた服を搔き集めて、鞄の中へと放り込み、持ってきた着替えに袖を通しながら聞く。 「あら、そうかしら。まあいいじゃない。気が向いたらまた相手して頂戴ね。」  それに対して結城は、唇にリップクリームを引きながら答える。 「何かお前に依頼することがあったらね。」  それに対して、呆れながらそう返す。 「はーい。」  楽しそうな声が返ってきた。

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