5 / 292

4

オバゴンに言われたからってのもあるんだろうけど。 多分 普段から生き辛いと思ってるんだよな。 俺はバーのマスターなんかやっているから 世界も狭く 出会う人達も涼に比べたら少ない。 カムもしているし あまりそういう 嫌な思いをした事もないけど。 人の目に怯える。 性癖だけで 何処かいつも後ろめたい気持ちになる。 涼はいつもきっとそんな風に感じながら 生きているんだろうな。。 うーん。 こういう時は・・。 モヒートのお代わりを作りながら考えを巡らせる。 「・・幸せってさ。」 まだはっきりと固まっていないながら口を開くと ん?と涼は不貞腐れ顔を俺に向けた。 可愛い顔が台無し。 くすっと思わず笑いを漏らすと なんだよー。と 唇を尖らせる。 「可愛いなって思ったの。」 ポンポンと頭を叩いて宥めると 俺の手をぎゅっと掴み 頬にあてる。 MAX弱っている時だけ涼はよくこうしたがった。 普段は照れちゃって 絶対しないのにね。 今日はよっぽど堪えてるんだな。 可哀想に。 この系統の話はいつも涼を苦しめる。 じわじわと真綿で首を絞めるように。 そのままやりたいようにやらせておき 反対側の手でモヒートをカウンターに出すと 涼は俺の手を握りしめたまま モヒートに口をつけた。 「幸せって目に見えるものだけじゃ無いって 言うでしょ。結婚したから。指輪してるから。 家族だってそう。子供がいるから幸せなんじゃ 無いし 人それぞれの感じ方だからね。」 そう言ってみると涼は被りを振る。

ともだちにシェアしよう!