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「これでもサービス業だからね。あまり無下にも 出来なくて。ごめんね。」 そう言って ポンと俺の頭に手を乗せて 顔を覗き込む。 「妬いた?」 ニヤッと笑いながらそう聞かれた。 ・・妬く。 ああ。まあ。。 でも。 「妬かない訳じゃないけど。新がモテるのは 今に始まった事じゃないし。 逆に俺がああやって姿見せるのって 営業妨害なんじゃないの? そっちの方が ちょっと気になるかなぁ・・と。。」 帰りは必ず店から入るように言われている。 二階への階段も外にあるんだけど 出迎えたいからって 同居を決めた時に 有無を言わさずに約束させられて。 ただいまって言って貰えるのは嬉しいから 別に異論は無い。 でも。新 目当ての客からあからさまに睨まれたりは やっぱりちょっと嫌だったりはする。 バレてる訳じゃないけど 俺が帰ると 嬉しそうに世話を焼く新の様子を見れば コイツを狙ってる人達からしたら 俺は まあ。 敵。 なんでしょうね。 新は空になった茶碗を取り お櫃の蓋を開けて 飯を盛ると 薬味を乗せて 醤油を回しかけ 出汁を注ぐ。山葵を少々。 うわぁ。やっぱいい匂い。 はい。と渡された。 「ありがと。」 早速さらさらと流し込む。 「ああ。これも旨いや。」 思わず笑みが浮かぶと 新も嬉しそうに微笑んだ。

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