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「ただいま・・。」 涼はカウンターに座ると そのまま身動ぎもせず じっと一点を見つめている。 新は渡されたビニール袋を開けながら 放心状態の涼介へとそっと目を向けた。 何かあったんだろうけど。 実家には帰り辛いらしく 正月一緒に行った時も 用事があるとか言って ご飯をご馳走になった後 すぐに実家を後にした。 何も俺は嫌な思いしていないのに カムしていない後ろめたさなのかな。 帰り道ずっと謝ってて。 なんか可哀想でね。 そういう状況を理解した上で 表向きは ルームシェアにしてるんだし 俺に謝る必要なんて無いんだけど もしかしたら ホントに謝りたい相手は俺じゃないかもしれないと 思ったから 気が済むまでその日は言わせておいた。 皆さんいい人達だけど確かに堅い家ではある雰囲気。 涼は自分がゲイだって気づいてから ずっと隠してきているんだし。 後ろめたさに申し訳なさが涼の行動を縛っていく。 しょうがないよね。 無理して欲しくもない。 とはいえ 全く実家に帰らない訳にもいかない様で 断り切れずに行くと 大体何かしら傷つき ここに帰ってくる。 でもここまでの状態は初めてかな・・。 「美味しそうな煮物だね。」 敢えて普通のトーンでそう声をかけると 涼はノロノロと顔を上げ コクンと頷く。 「・・泰雄さんの田舎から送ってきた野菜で 母ちゃんが作ったみたい。・・・ 帰る途中 泰雄さんが追いかけてきてくれて 渡してくれた・・。」 ああ。そうなんだ。 ニコニコと微笑む人の良さそうな顔を思い浮かべる。 ふーん。。

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