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「ちゃんとデートだって思わせるから。 期待しといて。ね。」 カウンターに座り 出した生ビールに口をつける涼を 真正面から眺めながらそう言うと じっと見つめ返し 嬉しそうにコクンと頷いた。 切り替えが早い涼でも この間の実家の件は なかなか頭から離れないらしく とはいえ口に出すのは嫌らしい。 まだ何があったのか話さない中 すぐに仕事も忙しくなり ほとんど寝に帰る日々が 続いていたから 久しぶりにまともに顔が見れた。 かなり疲れてそうだし それに・・。 「お腹空いたでしょ。今日のランチのカレー 残ってるけど食べる?」 「え。ホント? いつもあっという間に 限定食完売しちゃうのに?」 俺の作るポークカレーは有難いことに人気があり とはいえ一人で全てをやっているから ランチは限定30食。 それもすぐに出切ってしまう。 ただ最近まともに飯も食えていない涼が可哀想で 最悪朝ごはんにでも使えるしと取っておいた。 「やる? いつもの。」 そう聞くと目を輝かせ 椅子の上で飛び跳ねる。 「久しぶりだぁ。新のカレー。 マジで旨いからなぁ。」 もう。ホント可愛い。 今すぐ二階に連れて行きたくなるのをグッと我慢し 大鍋を出して湯を沸かす。 パスタは少し太目がよく絡んで旨い。 アルデンテより少し柔らかめで茹で上げたパスタを 湯切りし皿に盛って 温めたカレーをたっぷりと。 横に福神漬けを乗せて はい。と涼の前に出した。 涼はカレーライスよりパスタにカレーを かける方が好き。 最初はビックリしたけどね。 確かにやってみると旨い。

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