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「・・旨いですけど。」 涼は首を傾げたままそう言う。 隣の年配のリーマンが眉間に皺を寄せた。 「兄ちゃん。バカ舌なんじゃねえのか。 まずいだろ。フニャフニャでよ。」 うーん。と考え込みながら それでも涼は首を振った。 「いやこれ。多分こういう料理なんじゃ・・。 衣に粉チーズと卵白入ってる。ですよね? あとニンニクにスパイス類が混ざってて。 ちょっとピリッとするのはチリなのかな。 カリフラワーって淡白だからフライにすると それこそケチャップ。ああ。横に添えられてるか。 付けないと物足りない筈なのが これは単体で 結構イケますよね。」 ぽいっともう一つ口に放り込む。 岸さんが不思議そうに涼を眺め 手を伸ばして カリフラワーを掴むと 真似をして口に入れた。 「えー。叶さんそこまでわかります? でもホントだ。これだけでも美味いかも。」 「だろ? イケるよな。あ。これ俺払いますから。」 隣にそう声をかけ 二人でモグモグと食べ進める。 文句を言っていた二人連れは顔を見合わせ そっとカリフラワーを摘まんで口に入れた。 「・・・まあ。言われてみれば。」 「うん。確かに。・・でもよ。 やっぱりフニャフニャだろ。」 ああ。と涼は頷き 俺へと視線を向けた。 「確かにこういう料理だったとして。 それでも衣にちょっと水分が多いのかなぁ・・。 俺。フリットって知らないんすけど 天ぷらとかってやっぱり 衣の水分量と温度。 結構重要だとかってよく言いますよね。」 もったいないよなぁ・・。と小声でポツリ。 その言葉がピシッと胸に刺さる。 涼は あ。と口を押さえ 「すいませんっ・・知りもしないで 素人が偉そうに。ちょっと仕事柄つい・・。」 ペコペコ慌てて頭を下げた。

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