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そこまで何も考えていなかった。 フリットは衣の水分が多くなるといい感じには 絶対に揚がらない。氷で温度調整もやらなかった。 分かっていた筈なのにそこまで気をつける事もせず はいはい。どうせわからないでしょ。って 相手を舐めて・・・。 「・・あ・・あの。もう一度作ります。 お代はいらないので試食して貰っていいですか。」 勢い込んでそう聞くと 涼は目を丸くして。 同じように驚くみんなの顔色を伺いながら 「ああ・・じゃあ・・。」と ニコッと笑みを浮かべた。 その笑顔が可愛くてね。 胸がドキッとしたのを隠しつつ準備を始めて。 衣の水分量に気をつけながら下味をつけた カリフラワー。それにマッシュルームを油で揚げる。 ケチャップを添えたのも これで食えば何でも 同じ味で適当に満足するだろうという いい加減な気持ち。 これまで読まれてた。 内心すごく悔しくて。 サワークリームをレモン汁で伸ばし 自家製のキュウリのお新香を細かく刻んで パセリと一緒に混ぜたサワークリームソースを 揚げたてのフリットの横に添えて出した。 「いただきます。」 涼は両手を合わせてそう言って ハフハフと揚げたてのカリフラワーを半分齧る。 今もよくやるけど。 うんうん。って一人頷いて 「これすげえ旨いです。カリフワ。ほらほら。」 と他の人達へ勧めてくれた。

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