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・・まあ。 そうだろうと思ったけど。 涼介は赤色に染まっていく炭を眺めながら 炭はさみをカチカチと動かした。 炭を並べて 着火剤に火をつけて団扇で仰ぐ。 暫くボウボウ上がっていた火が 吸い込まれていくかのように炭に移り赤く染まる。 っつうか。 綺麗なんだな。炭って。 それにすごくいい匂いがする。 真っ黒い塊がだんだんと赤くなっていく様を 見つめているとなんだか気持ちがすっとするし。 新はそんな俺の様子をニコニコと眺めながら 食材を入れた重たそうな鍋を吊るし 火にかけた。 ・・何が入ってんだろ。 炭作りに夢中でよく見てなかったな。 俺の疑問が伝わったのか ニヤッと笑い 「後でのお楽しみね。」と教えてくれず 貰うよ。と出来上がった炭を取り 鍋蓋の上に 乗せていく。 あー。 上下から加熱するんだ。 こんなのも普段なら絶対に出来ない。 何 食わせてくれるのかなぁ。 雰囲気だけで もう旨いって確定。。 ワクワクしながら 炭をひっくり返す俺の横で 新はまた手際よく野菜や肉を切っていく。 細く長い綺麗な指がしなやかに動き 思わず見惚れてしまった。 勿論プロなんだけど。 新の指使いはいつも惚れ惚れするくらいで。 あの指に触られると・・。 って。 違います。 バカ。何考えてんだ。。 顔がぼっと熱くなった気がして 急いで団扇で パタパタと仰ぐ。 ん?と不思議そうに新が視線を向けると 涼介は慌てて プイッと顔を背けた。

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