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・・で。 「新さん。これは・・。」 座った椅子の前に置かれたバーベキューグリルの上に 小さい鉄鍋みたいなのが所狭しと並ぶ。 スキレットって言うんだよ。って さっき教えて貰ったんだけど 初めて見たなぁ。。 新は嬉しそうに説明を開始した。 「これがエビとマッシュルームのアヒージョ。 炭火でやると火の通りがゆっくりだから マッシュルームが縮みすぎなくていいんだ。 バゲッドに乗せて食べてね。 涼の大好きなニンニクアンチョビ味だよ。」 はい。と薄く切ったバゲッドとスプーンを渡される。 あー。これが言ってたマッシュルーム料理。 アヒージョってバルみたいな形式の店で 食った事あるけど ただオイリーで イマイチだったんだけどな。。 具材もちっちゃくなっちゃって固いし。 俺がそう思ってるの知ってる筈なのに 敢えてこれを出したってのは じゃあよっぽど・・。 スプーンでオイルごとエビとマッシュルームを掬い 言われた通りバゲットに乗せてパクッと齧り付いた。 「んっ!!」 うめぇーーっ。 何だこれ。 「すげえ旨い。エビも柔らかいし味もしっかり ついててニンニクが効いてる。 これ塩気。アンチョビだけか? このオイルも きちんと味が移ってるし 油じゃないよ。これ。 出汁。もう出汁みたい。 で。マッシュルームがこれまたふわふわ。 アヒージョで出てくるヤツ みんな固くて 旨くないのに 何だぁ?これ。。」 ふわっ。ジュワッ。みたいな。 すげえ。マジで。 「やっぱり火力って味を左右するよね。」 新はそう言うと 焼いたアスパラをフォークで刺し また はい。と俺に渡す。 「こっちのスキレットはカマンベールチーズ。 ただ切れ目入れて焼いただけ。 ほら。トロトロでしょ。簡単チーズフォンデュ。 白ワインも軽く振ってあるから 柔らかいよ。」

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