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「お前。そんな身も蓋もない言い方。。 一応 義理だけど 兄にはなるんだぞ。」 「そうだけど。所詮他人だよ。 だって。俺だって涼の事全部理解なんて してあげられない。自己嫌悪で苦しんでたとか わかってあげられてなかった。 これだけ一緒に居たってわからない事だらけなのに ポッと出の人に何が理解出来るって言うの? そんなのただの自己満。優越感に浸りたいだけ。 俺からしたら 冗談じゃないって話。」 話しながら 何だか腹が立ってきた。 伝わったのか 涼は困ったなぁ。と頭を掻く。 「もう。。お前。ホント普段全然怒らないのに こーゆー時だけさぁ。。」 はあーっと深く息を吐き出した。 「悩んでんの。馬鹿みたいな気になるじゃん。」 「なればいいよ。だってそうでしょ。 お姉さんが涼にそう言ったなら分かる。 涼だって お姉さんからそう言われたなら もっと受け止め方も違ったんじゃない? 何も言わないって事に俺は逆に何か・・・。」 そう。 本当にお姉さんはそう思って同居したのか。 本当に涼がそうだって気づいたのか。 内心かなり疑問が残るし。 お姉さんには何回かしか会ってないけれど 涼とよく似ている人だなって思ってた。 見た目も性格も。 腹に抱えていて 態度に出さないような人じゃ ない気がする。 逆に そういう話をわざわざした泰雄さんに 不信感しかないんだよね。。 でも。 それは今は言わない方がいいかな。 せっかく気分が変わってきてるんだし。 なんだろ。と首を傾げる涼の手を握る。 「涼が引け目を感じたり 人目が気になったり。 ご両親に申し訳ないとかさ。色々思ってるのは 仕方がないと思う。デートも出来ないとかね。」 握った手の甲に口を押しつけた。 「だけどね。自分でも言ってたでしょ。 俺たちは何も変わらない。他の人たちと 何も変わらないんだから。幸せになる権利も 人生を楽しむ権利も平等に持ってるはず。 だから いいんだよ。無理せず出来る事をすればさ。 気になってしまう事はしなければいい。 それをマイナスに考える必要なんて何処にも ないでしょ。 実家も辛いなら帰らなくていい。 いつか そういうものを乗り越えて 何も考えずに帰れる日が来るよ。 物事には時間が必要な場合。あるんだから。」

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