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まあ。これもかなり利己的な考え方だけど。 今の涼にはこう言い切ってやる必要がある気がする。 味方がいるって わかって欲しい。 ね。とツンツン可愛い鼻を突くと みるみる赤くなり 涼はじわっと涙を溜め 急いで ブンっと頭を振った。 夜空を見上げて 暫く動かない。 すると急に立ち上がり 大きく深呼吸。 ふぁーっと深く息を吐き 視線を下ろして 俺に向けると コクンと頷いた。 「うん。わかった。」 ニコッと笑みを浮かべると またペタンと 椅子に座り ホットウィスキーに口をつける。 泣くの我慢したんだな。 前を向こうとしてる。 それなら。 「涼。まだ小腹空いてるでしょ。」 火にかけていたダッチオーブンの蓋を開ける。 「そうそう。これ何だかずっと気になっててさ。 すげえいい匂いだな。」 中を覗き込むと ん?と首を捻った。 「・・丸鷄?」 「そう。参鶏湯。」 サムゲタン。。? 想像していなかったのか 鸚鵡返しに聞いてくる。 「うん。丸鷄の中に詰め物してただひたすら 煮込んである。餅米入りだから小腹を満たすのに ちょうどいいと思うよ。」 ぐずぐずに柔らかくなった丸鷄を諸共崩し 骨を出して出汁と混ぜていくと トロッとしたお粥に。 お椀に盛り スプーンを添えて渡す。 「ザーサイ刻んだやつ入れても美味しいからね。」 テーブルに店から持ってきたパックを置くと 涼は へえ。。と言いながら 鼻をお椀に近づけ まずは香りを吸い込んだ。 「うわぁ。いい匂い。なんだろ。やっぱりちょっと 外国っぽい匂いがするよな。漢方ってのかさ。 クコの実、松の実。。いただきます。」 ふうふうしながら 口に入れると 瞬間 パッと目を見開いた。

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