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お代わりをよそい はい。と手渡す。
ふうふうしながら スプーンを口に運ぶと
モグモグしながら 涼はうんうん。と頷いた。
ザーサイをドサッとかけて また一口。
「うめぇなぁ。。やっぱりさ。現実忘れるよ。
さっき言った意味じゃなくてさ。
全然違う世界に居るみたいで 楽しいって意味で。
今日は星が優しく輝いて見えるし
辺りの空気も柔らかくて 居心地いい。
目の前でパチパチ焚火が燃えててさ。
こんなの。普段と違いすぎるじゃん。
違いすぎて 楽しいしかないよな。」
涼はお椀をテーブルに置くと 顔を近づけ
チュッと俺の口にキスをする。
「ほら。外でこんな事出来ちゃうし。」
そう言いながら 顔を真っ赤に染めた。
もう。。
やっておきながら そんなの。
堪らなくなるでしょ。
「そんな可愛い事すると今すぐテントに
引き摺り込むけど。」
顔を覗き込むと え。と硬直する。
「テ・・テント⁉︎」
「そう。流石に我慢しようかと思ってたんだけど
どうしようかなぁ。」
意地悪で追い詰めると 涼は目をパチパチ瞬き
へにゃっと困ったように眉を下げた。
ホントに可愛いんだから。
「でも。その前にデザートね。忘れてない?」
炭ハサミを焚火に突っ込み ホイルに包まれた
塊を取り出した。
涼は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「ああ! 焼き芋かぁ。ちょ・・ちょっと待って。」
お椀の参鶏湯を平らげると 急いで軍手をした。
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