60 / 292

19

「新さん。。寝袋。。」 テントの中に寝袋が二つ。 ・・だけど 何故か二つの端と端がジッパーで 止められて デカイ一つの布団みたいになっていた。 「一緒に寝るんだから 一つがいいでしょ。」 はいはい。と横たわらされ 新も横に滑り込む。 合わせたジッパーをジジジと上げて密封すると ぎゅっと抱きしめられ チュッとおでこにキス。 「ほら。温かいでしょ。」 そうだけど。 うん。 「あったかい。なんかもっと頭からすっぽり 被って身動き取れないみたいなのかと思ってたな。 寝袋って。。これほぼ布団だよ。」 「いい時期だからね。朝晩冷えるけど そこまで 寒くはならないしこの季節はこれで充分。 抱き合って眠れるし。まあ。ちょっかい出したくは なるけどね。」 新はニヤッと笑い 背中に手を入れると さわさわと撫でた。 流石にこの状況じゃ ヨシとは言えない。 ちろっと睨むと ふふっと含み笑いをして はだけた裾を中に入れてくれる。 「楽しかった? 初キャンプ。」 「うん。すげえ楽しかった。なんかさ。 もっと色々覚えたいなって思ったかな。 今回はほとんどやって貰っちゃったし。」 包丁は使えるけど もっぱら食う専門で。 料理なんかやった事もないし やろうとも思わなかった。 仕事柄 上手な人ばかり見てきたし 知り合う人達 皆ちゃんとしてて。 敷居が高いっていうか。。 でも。キャンプなら素人が手を出しても いい気がする。 失敗してもなんか楽しめるかもしれないし。 そう言うと 新はコクンと頷いた。 「涼はきちんと自分の物差しで測ってから 行動するからね。それがいい所でもあるんだけど。 可能性ってホントは無限にあるんだよ。 まずやってみるっていうのもたまには いいんじゃない? 火おこし。上手だったよ。」

ともだちにシェアしよう!