「兄ちゃん。うちのコースの鳥出汁巻きの事 言ってんのか？」 へ。 ああ。また余計な事を。。 「いや。あの。すいません！えっと。。 あの出汁巻きすげえ旨くて。感動して。 ただ 今 この親子丼食べたら これよりアッチなら って思っただけで。。」 「ちょっと食ってみてくれ。」 有無を言わさず座らされ 森保さんは手早く卵を溶き 鳥出汁と塩を入れてから混ぜ合わせ 綺麗に巻いていく。 うわぁ。 職人芸。 綺麗な黄色。 敢えて表面に少し焼き目をつけて。 「どうぞ。」 いいのかな。。と思いながら あんまりにも 旨そうで 箸を取る。 わあ。柔らかい。 前よりもフワッとしてんのはやっぱ卵かな。 パクッと一口。 「あー。すげえ。これだと出汁の旨味 ガツンときます。卵の主張が強くなくて ちゃんと鳥出汁が主役。 あと 柔らかいっすね。ふわふわで。 今までのも最高に旨かったけど これは更に。」 うんうん。と頷くと 森保さんは箸を取り 出汁巻きを掴んで口に入れた。 ああ。と頷く。 「確かに舌触りも違うな。そうか。 親子丼だと出汁が濃い目だから卵も濃くないと 負けてしまうが 出汁巻きにはあの卵は ちょっと味が強すぎる。」 「卵って色々違うんですね。俺なんか いい卵 普段食べないんで ここの卵濃厚で 旨いなって思ってたんですけど この卵でも 合う料理があるし。やっぱ料理って奥が深いなぁ。 いい勉強になりました。」