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「なんだ。いいから言ってみろ。」 俺の表情を見て 森保さんはそう促す。 まあ。いつも言いたい放題させて貰ってるしな。 「はい。この刻み海苔。イマイチかなぁと。 食感も香りも合ってないって言うか。 定番ではあるんですけどね。」 モグモグ食いながら やっぱりちょっと。と そう言うと ほら見ろ。と森保さんは桜井さんに 視線を向けた。 あれ。もしかして。。 「これ。桜井さんが。」 苦笑いを浮かべ コクンと頷いた。 「いや。照り焼きは凄いですよ。 なかなかこの照り出ないですし 程よく香ばしいのに 地鶏はしっかりとしつつ柔らかい。 ただ 海苔だけちょっと気になって。。」 慌ててそう言うと 桜井さんは 「いいんです。実は親方からも同じ事を 指摘されてて・・。でもネギはもっと香りが強いし 大葉はクセがあるんで。他に何がいいか なかなか思いつかなくて。」 ポリポリとこめかみを掻きながら うーん。と唸った。 ああ。成る程。 確かにこういうのって意外と難しいよな。 だからって無くていい訳じゃないんだろうし。。 ん。 例えば・・。 「糸唐辛子とかはどうですか? 」 辛味は強くなく 彩りも鮮やかで 茶色い丼によく映えるし。 甘辛いタレに合う気がした。

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