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不味くなった。コクが無い。 銀ラーメンってこんなだったっけ? 間髪入れずっていうくらいの早さで マイナス書き込み。 来店客にも スープを飲むと首を傾げられる。 全く完飲されなくなり すぐに使うのを止めた。 「涼ちゃん。ごめんな。ちょっと売り上げ悪い店が 出てるタイミングだったから 少しでも 経費を削減したくてよ。。自分でも味が落ちるの わかってたんだけど あの営業が変わらないって 言ったんだし 大丈夫だって 無理矢理自分に 言い聞かせてさ。。やっぱ客舐めたらダメだな。。 客足にも響いてきててよ。それで・・。」 居た堪れなかった。 うちの商品が理由で 売り上げが落ちるなんて。 勿論 三沢が勧めた醤油が出来が悪いわけじゃない。 ただ あの店には 【合わない】のだ。 ラーメンは味の変化が伝わりやすいし。 「変えるなら 良くしてやらなきゃ意味ないだろ。 逆に悪くなって 万が一店が潰れたらどーすんだよ。 そんなのどっちも望んでない。うちだって 得意先失う事になるんだぞ。 目先の自分の売り上げの為だけに適当な仕事をして 俺の客に物を売ったなら 俺は絶対に許さねえ。 次 こんな真似したらただじゃ済まさねえぞ。」 低い声音でそう言うと 三沢はビクッと震え オドオドと視線を泳がせた。 ああ。ちょっと昔のクセが。。 木崎も目を丸くして俺を凝視している。 「はいはい。そろそろおしまいにしろ。 三沢もわかったな。」 成り行きを見ていた橘課長は手をパンパンと叩き そう遮った。 ちらっと俺を見て ニヤッと笑う。 はい。ナイスフォロー。 ありがとうございます。 「明日今日回れなかった店行って その後 もう一度各店舗の状況把握します。 流れで注文受けてきた俺の落度なんで。 すいませんでした。」 銀次さんが困っていた事も気づけなかった。 今 使っている物以外で もうちょっとコスト 下げられるか試作する約束もしてきたけど・・。 折り合いをつけるのは難しい。 だからこそ 誠実に。 誠実さを失ったら 終わりだ。 橘課長は頷き 「じゃあそういう事で。 三沢。俺たちの仕事は飲食店ありきだ。 クレームなんて適当に流しとけばいいなんて 思っていたら いつまでたっても仕事は取れないぞ。 しばらく叶について一緒に店回れ。 まずはお前が謝るべき話だしな。」 そう場を収めた。

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