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大きめのカクテルグラス 二つの縁に塩をまぶし
シャーベット状の酒を注ぎ込み
はい。と二つ共俺の前に滑らせる。
ん。これは・・。
「フローズンマルガリータ。
味の違いの話ならこれが一番わかりやすいから。
違う塩をまぶしてあるよ。」
ニコッと新は微笑んだ。
あー。そっか。
一つ目に口をつけると ざらっとした感触に
ダイレクトに塩気が来る。
爽やかなマルガリータのシャーベットには
ちょっと強すぎるかな。酒が薄く感じてしまう。
水を含み もう一つ。
ああ。こっちはサラッと柔らかくて。
でも塩気も薄い。
いやー。これだと無くてもいい。
それならさっきの方が酒の甘みも感じるし。
でもなぁ。。
考え込む俺を眺めながら 新はくすっと笑い
「こっちだ!ってのないでしょ。」
そう言いながら 一つ目のマルガリータに
口をつけた。
「そうだなぁ。。どっちかって言ったら
そっちだけど。。」
新の持つグラスを指差すと 頷く。
「そう。だから俺はフローズン作る時
こっちの塩で 今作った標準の配合より
甘め、濃い目に作るんだ。その方が相性がいいの。
で。何でこれを出したかなんだけど。」
ん。
・・何だろう。
「話を聞く限りだけど。涼がしてる事って
営業の枠 超えちゃってるんだよね。
例えばこのマルガリータ。俺もこうやって試作して
何がいいか考えて ベストと思う物を
お客さんに提供する。自分の店だからさ。
セルフプロデュース。個人店はみんなそう。」
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