「・・ねえ。アラタ。怒ってる？」 ジーンはハンバーガーを手に持ちながら 顔を近づけた。 怒ってる。 どうしたら怒ってないと思うんだろ。 ジーンは昔からワガママで突拍子も無い行動を すぐ取るけど まさか親を撒いて ここに来るなんて思わなかった。 日本に来るとはメールが来ていて でも いつと言わなかったのはサプライズのつもりらしい。 そんなサプライズ要らないし ただただ迷惑。 居心地悪そうに 逃げるように出て行った涼を 思い浮かべる。 可哀想な思いさせちゃったな。 焼肉も。その後もすごく楽しみにしてたのに。 色々大変だったのが やっと落ち着いて じゃあ久しぶりにって時間調整もしてくれて。 それが これ。 「怒って無い訳ないでしょ。」 肘をつき 外を眺めながら 思うがままにそう返すと ジーンはあからさまにシュンとして見せた。 涼は気づいたんだな。 ジーンは従兄弟だけど。 ジーンはそう思ってないって。 前からそうだった。 いくら言い聞かせても聞かないし。 とはいえ 従兄弟なのは本当だから 流石に 邪険にも出来なくて。 気を持たすような事をした訳じゃないけど 目敏く俺がそうだっていうのはわかったらしく それからは ずっとこんな調子。 日本に戻ってきてからはメールのやり取りだけで いい加減諦めたのかと思ってたんだけどな。 ちゃんとパートナーが居るとも伝えて それからは連絡も余りなかったんだけど。