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「会社の連中に呼び出されてさ。
飯も食わずに冷酒飲みすぎちゃって。
潰れて同期の家 泊めてもらった。イテテ・・。」
コメカミをトントン叩く。
ジーンは涙を引っ込め 涼に向かって吠えた。
「嘘つき! どうせ他の男と遊んでたんでしょ。
俺たちだって一晩一緒に楽しく過ごしたから
別にいいよね。ねえ。アラタ。」
また腕に纏わり付く。
ホント。意味がわからない。
腕を振りほどき 睨みつけた。
「何もないでしょ。なんでそんな嘘つくの。」
「キスだってしたじゃない。」
キス。
勝手に唇押しつけてきただけで。
興味がない事を示す為に敢えてやらせたけど
まさかそれをこんな風に涼の前で言うなんて。
涼はサッと表情を強張らせた。
ああ。また勘違いさせる。
「あんなの。勝手にしてきただけでしょ。
ホントのキスはこういう事を言うの。」
涼に近づき 後頭部に手を回し 唇を押しつけた。
舌で口をこじ開け 舌を吸い上顎に舌を這わせる。
「・・んっ・・あ・・ん・・。」
激しく貪り 口を離した。
潤む瞳が可愛いけど。。
「・・涼。酒臭い。」
「あ・・当たり前だろ。潰れるくらい
飲んだんだから。。ってイテテ・・。」
頭を押さえる涼を抱きしめて 真っ青になっている
ジーンへと振り返った。
「帰れ。」
ジーンは涙をボトボト落とし 店を飛び出していく。
「・・追いかけなくていいのかよ。」
「いいの。充分我慢したと思うけど。
涼がああ言わなかったらその我慢もしなかった。」
冗談じゃない。
もうこれ以上は無理。
涼は困ったように眉を下げる。
「お前。こういう時ちょっと怖いよな。。」
へにゃっと笑い ぎゅっと俺にしがみついた。
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