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「何だよ。キスって・・。」 二日酔いに効くからと新は味噌汁を作り始める。 カウンターに座り 水をガブガブ飲みながら 涼介はさっきの話を蒸し返した。 「いくら言っても聞かないから。 ずっとはっきり言ってたんだけどね。 涼以外に興味がないって。なのに実力行使で キスしてきたから無反応でほったらかした。 ワンワン泣いてたけど。」 新は怒りを瞳に浮かべ あからさまにムッとして そう冷たく 言い放つ。 あー。 想像出来る。 俺にはホント優しいけど キレるとガチで 冷たいからなぁ。新は。 口にキスとか。 外人気質だから 気持ちがなければ 何でもない事なんだろうけど。 ちょっとジーンに同情した。 でも。 やっぱりやだな。 俺。純度100パー 日本人だし。。 「もう。そんな事すんなよ。。気持ち無くたって やっぱり嫌だし。。」 正直にそう口にすると 新は顔を近づけ 「ごめんね。もう二度としないから。」 チュッと額にキスをした。 「で? 誰の家に泊まったの?」 ニッコリ笑みを浮かべ それでいて誤魔化しは 通用しないぞ。と切れ長の瞳がキラッと鋭く光る。 攻守交代。 まあ。何もないし。 ちゃんと話した方がいいよな。 はい。と新はお椀をカウンターに出す。 ああ。いい匂い。 自家製味噌に豆腐とワカメ。 ズズッと飲むと 空っぽで酒に荒れた胃が ゆっくりと動き出した。 「旨い。」 ちゃんと取った出汁のいい香りが口内から 鼻に抜け いくら歯を磨いても身体中 酒臭いのが すーっと薄れていくみたいで。。

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