112 / 292

10

ふるふると被りを振る。 「・・してない。。恥ずかしいけど。 でも。。この間。本当に嫌だったし。 怖かった。新を取られちゃうんじゃないかって。。 だから思う事 ちゃんと口にしないとなって思って。 ああ。でも。。そんなにしょっちゅうは 無理・・だけど。。新みたいには無理・・。」 そっか。 色々思ってくれていたんだな。 今も一生懸命言葉にして伝えてくれる。 俺の為に 変わろうとしてくれている。 じわっと胸が温かくなった。 「うん。嬉しい。何も言わなくても 伝わってるからいいって思ってたけど こうやって言ってくれるともっと嬉しいね。 ありがと。俺も大好きだよ。」 口づけて そっと唇を離すと 涼は何故か眉を潜める。 「ん?」 「ん。じゃねえだろ。。何ですか。 そのウェポン 臨戦態勢は・・。」 ああ。 まあね。 「しょうがないでしょ。こんだけ可愛かったら サカるに決まってるじゃない。頂戴。」 顔を近づけると 両手を俺のおでこにつけて グッと突っ張った。 「えー。なんで。」 「ベッド。。ベッド行ってからにして下さい。」 んー。 お願いは何でも聞いてあげたいけど。 「せっかく こんなホテルに泊まってるんだから。 全部楽しもうよ。お風呂もベッドも。 で。それから お酒飲みながらキッチンとかも いいよね。 時間は沢山あるから。 それからリビングのあのデカイソファーと。。」 涼は顔を強張らせ またブンッと首を振る。 「そんなの。。死んじゃうだろ。。」 そう。 死ぬ時も抱き合って死んでいきたい。 ずっと。 ずっと一緒に。 でも。流石に引いちゃうだろうから言わないけど。 じゃあ代わりに。。 「天国に連れてってあげる。」 新はニコッと笑みを浮かべ 涼介を抱きしめると 首筋に吸いつく。 アワワと涼介は後ろに仰け反り バシャンと 水しぶきが上がって 二人とも頭から びしょ濡れになった。 ポカンと口を開けて 顔を見合わせる。 どちらからとも無く ゲラゲラと笑い出し 新が涼介の濡れた髪を掻き上げてやると 互いに顔を近づけ ゆっくりと唇を合わせた。

ともだちにシェアしよう!