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服を脱がし タオルで汗を拭き取ってくれ 新しい服を着せてくれる。 ああ。 気持ちいい。 「シーツも汗まみれだから代えたいけど 立つのしんどいよな。ひとまず タオル敷くか。」 涼はそう言って 大判のバスタオルを敷き その上に俺を寝かせてくれた。 ペットボトルの水のキャップを外し はい。と渡してくれる。 ゴクゴクと飲むと 冷たい水が喉を通り 体内に行き渡るように感じた。 こんな風に誰かに看病して貰った事なんて 一度も無かったな。 両親はいつも不在。 小さい頃はこことは別の家に住んでいて 夕方には帰るお手伝いさんしか居ない。 心配した祖父母に面倒を見て貰うまでは ずっと一人だった。 物音一つしない家。 冷え切った部屋。 暫く忘れてたんだけど。 熱出して 思い出すなんてね。。 「・・どうした? 調子悪いか?って 悪いに決まってんだけど。どっか痛いとか 気持ち悪いとか。。」 心配そうに顔を近づけ 冷たい手を俺の額に当てた。 「さっきよりは下がったみたいだけどな。」 「うん。大丈夫。。ありがと。」 額に当てた手を掴み ぎゅっと握る。 うん。と涼は頷くと 「新。腹減ってないか? お粥食う?」 ニヤッと笑い そう聞いた。

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