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「あらたぁ・・。」 ベッドの中で本を読んでいると横から 甘えた声音が聞こえ 眼鏡を外す。 ん?と瞳を覗き込むと涼は俺の胴にしがみつき むにゅっと唇を尖らせた。 「服部と何しゃべってたんだよ・・。」 服部さんは涼に向かって 「この間のお詫びが言いたくてね。 途中で帰っちゃったから。本当にごめん。 変な騒動に巻き込んだ事も・・。 ちゃんと考えてみるから。その時また話 聞いてくれる?」 そう言って。 「ああ。勿論・・・。っていうかいいのか? なんか話したかったから待ってたんじゃねえの?」 涼が戸惑いながらそう問うと 服部さんは俺に ちらっと視線を送り ふるふると首を振った。 「謝りたかっただけ。会社じゃ話せないし 電話も繋がらなかったから。 家まで押しかけちゃってごめんね。 あの。またお店に伺ってもいいですか?」 最後は俺に向かってそう聞いて 勿論です。と頷くと 服部さんは嬉しそうに 笑みを浮かべ 頭を下げる。 じゃあね。と店を出て行った。 「何って。世間話だよ。別に涼の 悪口とか言ってないけど。なんで?」 んーー。と更に唇を尖らせる。 可愛いけど。 どうしたんだろ。 「何か気になったの? どうかした?」 尖った唇にチュッとキスを落とすと 涼は んーーー。とまた唸り声をあげた。 「新って・・。ああゆー美人系好きなの。」 は。 ああ。そういう・・。 「なんで?」 敢えて聞き返すと だって・・。と いじいじ俺のスウェットの袖口を弄り始めた。 「服部がそうとか知らなかったから 全然気にした事もなかったんだけど。 さっきのアイツなんかすげえ綺麗に見えて。 色っぽいっていうか艶っぽいっていうか。 男なのに色気があるっていうか。 えーーって すげえビックリしてさぁ・・。 新と話してて ああなったのかなって思って。。」

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