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じんぐるべー じんぐるべー はいはい。 涼介は混雑する街を歩きながら聞こえてくる 音楽に合わせて脳内で歌う。 世間はクリスマスに向け シーズン真っ只中。 クリスマス。 俺は働いてマス。 はは・・は。 皆さん楽しそうで。 いいですねぇ・・。 一人だった時はクリスマスなんて 仕事でラッキーとか思ってたんですけどね。 とはいえ まあ。新も仕事だし。 何するって訳でも無いし 仕方ないよな・・。 毎年クリスマスは特別料理を新の店で出していて 昼も夜も予約があっという間に埋まる。 俺の仕事は飲食店が忙しい時期 同じように忙しいから殺人的スケジュールで 店舗を回り たまにお手伝いなんかしたりもして。 そんな事やる必要ないとか会社の連中には 陰口叩かれるけど もうやっちゃってんだから しょうがないんですよ。 まあ。楽しいしね・・。実際。 それにクリスマスったって その先の年末。 正月が待ち構えていて そっちでもテンテコマイ。 まあ。書き入れ時ってヤツですから。 毎年 イブもクリスマスも 帰るのは終電ギリ。 新の店が閉まるのも閉店時間を大幅に超え 大体 疲れ切った顔を合わせてシャンパンを飲み 新が用意していてくれた特別料理の おすそ分けを食べてプレゼント交換して終わり。 忙しいのにちゃんとプレゼント毎年用意 してくれてんだからなぁ・・。 去年は今しているこの時計。 俺は全然センス無いし 詳しくないから よくわかんないけどかなりいい物だったらしい。 目敏く 木崎にどうしたんすか。それって聞かれて 貰ったって言ったら ニヤッと笑われて。 「・・年上っすか。キャリアウーマン的な。」 暫く纏わりついてうるさかった。

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