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こうやって面と向かって相対すると思うけど。
やっぱり涼によく似てるよね。
一つ上って聞いてたけど 双子でも通るかも。
ショートカットで小さい顔に大きな瞳。
ベビーフェイスで実年齢より若く見える。
「制度だけ整えたってさ。実際は嫌味も言われるし
自分より仕事出来ない奴が出世するし
ホント。やってらんないなって思うくらい。
まあ。だけど 今まで頑張ってきた事。
無しにはしたくないのよねぇ。。
旦那は内心 仕事辞めて欲しいみたいだけど。」
ぶつぶつ言いながらコーヒーをグイッと飲み干した。
愚痴り方も一緒かな。
つい くすっと笑うと ああ。と静香さんは
苦笑いを浮かべる。
「ごめんごめん。こんな話しにきたんじゃなかった。
で? うちのバカ弟は元気にやってる?
連絡しても 適当な返信しか寄越さないけど。」
コーヒーのお代わりを注ぎ
「忙しいみたいですね。結構毎日帰りも遅くて。
休日出勤もたまにありますし それに 今 休みの日は
店も手伝ってくれているんですよ。」
そう言うと へえ。と静香さんは目を丸くした。
「アイツが手伝いねぇ。料理も洗濯も何にも
出来ないから 新くんに迷惑かけてるんだろうって
お母さんとも言ってたんだけど。」
ふーん。。と言いながら 少し嬉しそうに
笑みを浮かべる。
「新くんとは上手くやれてんだね。
まあ。仲良いなって思ってたから意外でも無いけど。
ほらさ。中学ん時は荒れてたし 落ち着いても
いつもなんか家の中で居心地悪そうにしてたのよ。
だから出歩いてばっかで 全然帰ってこなくて。
何が気に入らないんだかわかんないけど
あれだけ 態度に出てたら ああ。コイツは
誰とも上手くなんかいきっこないなって。
だから ルームシェアするとかいきなり言い出して
どういう風の吹き回しかと思って。
身内で無理なのに 他人と一緒に住めるなんて
思わないからねぇ。。
お母さんはさ。親だからなんかまだ諦めてないみたい
だけど あたしからしたら アイツが結婚とか
無理無理。彼女だって知る限りいた事もないし
いい加減諦めなって言ってるんだけどね。
今は結婚しない人も多いし 本人がそれがいいなら
それでいいんじゃない。ねえ。」
淹れ直したコーヒーに口をつけ ホッと息を吐く。
ああ。。やっぱりな。
やっぱり 静香さんは気づいてない。
そうじゃないかと内心ずっと思ってたんだよね。
この人は気づいたら 黙っているような人じゃない。
だから 涼も違和感を感じて 変に勘ぐって
余計に混乱してる。
じゃあ あの人は何であんな事・・。
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