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「・・ああ。新?・・うん。ごめん。 なんか泰雄さんに呼び出されちゃってさ。 ・・・え?・・ああ。うん。話があるって 昼間に電話貰って・・うん。そう・・・ 店?・・えっとね。」 目の前のビルの入口に置いてある看板に 涼介は目を向けた。 「ブルーギル?か・・え?・・ああ。そう。 駅から真っ直ぐ行って右に曲がって・・ うん・・・知ってんの?・・へ?」 あー。 そーゆー。 ・・・。 「ああ・・まあ。大丈夫だよ。・・え? マジで?・・いやぁ・・えー。。 うん。わかった・・大丈夫だって。・・・ 涼さんを信じなさいよ。もう心配性だなあ・・。 うん・・・わかった。じゃあな。」 新って。 よくそういうの知ってんな・・。 使ってた事あんのかな。 なんてそっちの方が気になったりして。 ね。 はあ。 まあ。いいや。 アレから実家には一度も帰っていないし 正直考えないようにもしていて。 だけど本当はちゃんと何処かに着地しないとって 思ってた。 いくら考えてもどうも混乱するばっかで 最初はショックが勝ってたけど 時間が経つにつれ なんかな・・って思い始めて。 泰雄さんは姉ちゃんの高校時代の家庭教師。 家で数回見かけたぐらいで その頃俺は 色々悩める青少年で あまり家にもいなかったし。 その人と結婚するって聞いても 顔も思い出さなかった。 んですけどね・・。

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