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だけどさぁ。。と窓の外へとまた目をやる。 「ああやって歩いてる人達全員に指差されても 俺。もういっかなって思って。 誰だって悩みや弱味や人に知られたくない事 あるよな。まあ。だからってカミングアウトする気は 毛頭無いけど でもバレたらバレたで 別にいいかなって思う。 新が居てくれればもういいやってなんか そう思ってて。で。さっきそれが確信に 変わりました。って感じですかね。」 うんうん。と一人頷くと ぽんぽんと軽く 俺の頭を叩いた。 「だから。そんな顔するなってば。 大丈夫だから。な。」 「・・・うん。わかった。」 暫く沈黙が続いた後 ただなぁ。。と涼はポツリと呟く。 「こんな事しでかして あの人これから先 どうやって姉ちゃんとやっていくんだろ。 愛梨もいるしさ。それはやっぱり責任感じるよな。 俺って 存在自体が人に迷惑かけてんのかね。。」 え。。 その声音があまりに哀しく響き 思わず ぎゅっと手を握る。 涼は無理矢理笑みを浮かべると 「運転中。」と俺を嗜め そっと手を離した。 また窓の外へと視線を向ける。 「俺はもういいよ。腹括れてきてるし。 泰雄さんに脅されても もうバラされたっていいって ホントに思ったしさ。。 でも 自分だけ良ければいいってもんでもないしな。 まあ。だからって何が出来るかわかんないけど。。」 「涼のせいじゃないよ。夫婦間の事は当事者にしか わからないし こうなったのは 涼がそうだから だけじゃない。そうでしょ。 存在自体が迷惑なんて絶対に無いよ。それに・・。」 静香さんの話をしようとして ぐっと思い留まった。 ・・やっぱり 帰ってからにしよう。 さっきから歯痒くて仕方がない。 傷ついてるのに 俺に心配させないように 大丈夫なフリして。 涼は優しいから自分のせいにして自分を責めて ホントは苦しんでる。 これじゃ抱きしめてあげる事も出来ないし。 大事な話はきちんと正面から話さないとね。 涼にそんな風に思って欲しくないし ちゃんと話して わからせたい。 涼は何も言わず ただ小さく頷き ウイーンと 窓ガラスを下げると 真冬の夜の風を顔に受けながら ゆっくりと目を閉じた。

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