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「はい・・わかりました。じゃあ今から。 ・・・ええ。大丈夫です。・・はい。では。」 涼介は電話を切ると 携帯をポケットへと入れる。 明日はクリスマスイブ。 で。クリスマス終われば年末。と。。 各店舗さんも準備に追われていて 朝から電話がひっきりなしに鳴っていた。 充分な準備しててもね。 なかなか難しいんですよね~。 はあ。と息を吐き さて。と 駐車場へ停めている営業車へ向かう途中 また携帯がぶるっと震えた。 はいはい。 毎度あり。 涼介はため息をつきながら携帯を取り出し 画面を見もせずボタンを押す。 「涼? あんた何度も電話かけてんのに ずっと話中ってどういう事よ。」 姉ちゃんのデカい声が耳をキーンと劈いた。 「・・・忙しいんですよ。年末だから。 そっちだってそうだろ。で。何?」 この間の【事件】があってなかなかの気まずさは 否めない。とはいえ出来る限り普通の声音を作り そう答えると 「うちの旦那。名古屋に単身赴任が 急に決まったのよ。年明け早々。 全くさぁ。愛梨もまだ小さいのに。。 もー 準備だなんだで今もバタバタしてるんだけど。 で。お母さんが行った事無いって言うから 引っ越し兼ねて 正月休み利用して 全員で向こうに旅行に行く事にしたから。」 へ。 「・・単身赴任・・・旅行?」 意味が分からず復唱すると そう。と返事が聞こえてくる。 「だから。あんたは別に正月気にしなくていいから。 どうせ帰ってきたくもなかったんでしょ?」 ズバッと気持ちを言い当てられた。 「ああ・・・。うん。まあ。 正月からケンカすんのもな・・って。」 素直に返すと くすっと笑われる。

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