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「まあ。お母さんには上手く言っておくから
ほとぼり冷めるまではいいんじゃない。
もうちょっと年取ったらその内あっちも諦めるわよ。
うちの息子は不適合者なんだなってさ。」
あっけらからんと悪口を言われる。
そう。
俺の姉はこういう人です。。。
「そうですよ。俺は不適合者です。」
不貞腐れてそう返すと ケラケラと笑われ
「まあ。新くんも一人みたいだし
二人でゆっくりと正月過ごしなさいよ。
・・・ああ。はい!今行きます!じゃあね。」
一方的にそう言って ブチっと電話が切れた。
ああ。そうですか。
いつも通りで ちょっとホッとしましたけど。
ね。。
あの日。
家に戻ってから 新は俺を真正面に座らせて
ぎゅっと手を握り 姉ちゃんが店に来た話を
してくれて。
「静香さんには静香さんの感じ方や考えがある。
涼の存在が静香さんを苦しめてる訳じゃないでしょ。
俺たちにはわからない問題がそれぞれに
あるんだから。なのに その問題から目を背けて
涼のせいにして。捌け口を向けてきたあの人こそ
俺は許せないし この事で 存在自体が迷惑とか
絶対に思って欲しくない。」
まるで懇願するかのように必死にそう言って
力強く抱きしめてくれた。
優しいよな。
車ん中じゃ話にならないって思ったのか
俺がイジケてるのも我慢してくれて。
全くね。
大丈夫って言いながら 結局弱音吐いてんだから。
内心やっぱ傷ついてたんだなって改めて気づいたし。
情けないヤツですよ。ホント。
でも 新の温かさに救われて。。
泰雄さんが異動を希望したのかな。
同居もホントは嫌だったみたいだし あんな事
しでかしたのも限界だったのかもしれない。
まあ。それか仕事でなんかやらかして
自棄になってアレって可能性もあるか。。
・・わかんないけど。
まあ。色々あるんだよな。
無理は長くは続かない。
でも続けていかなきゃいけない場合もある。
子供も居る。生活もある。仕事もある。
結局自分で選択するしかない。
難しいよな。。
それでも生きていかないといけないんだし。
ね。
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