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ああ。まあな。
新 一人だと出せる数も限りがあるし
せっかくいい肉を仕入れられるようになったんだから
と週末のランチは手伝うようになって。
前に手伝ってた時に客に絡まれてから
新は俺に手伝いさせるの嫌がってたんだけど
CEO就任と共に接客的な事は
任せて貰えるようになった。
あの頃は形態としてバーが主。
でも今は完全にバー&レストランとして
成り立っていて 客層も変わり 週末のランチは
夜 スタンディングで客が酒を飲むスペースに
テーブルと椅子をセットして食事を提供している。
元々 新はそっちがやりたかったみたいだし。
その方が売り上げも伸びるからなぁ。
バイトを入れれば毎日そう出来るんだけどな。
コストと売り上げを見て 人件費かけても
充分に成り立つのは既に把握済み。。
俺は平日は仕事があるし 週末だって
休日出勤がある場合もある。
会社の仕事が立て込んでる時は俺の体を心配して
頑としてこっちを手伝わせては貰えないし。
でも。
嫌がるんだよな。人を入れるの。
一度言ってみた事があるんだけど
「今はこれでいいよ。涼がいつか
一緒に出来る様になった時にね。」
って全然取り合って貰えなかった。
この話の流れでもう一回言ってみるか・・。
「有難いけど。やっぱりさ。
バイトでも入れた方がいいんじゃねえの?
その方が毎日数出せるしさ。
食材だってもっとコストかけられるだろ。」
新は瓶ビールの栓を抜き コップに並々と
ビールを注ぐ。
はい。と俺にコップを渡し
コツンと合わせて 二人で頭を下げた。
「一年間お疲れさまでした。」
「お疲れさまでした。」
ぐいっとビールを空け はあ。と息をつく。
「その事でさ。相談があるんだけど。」
新は空いたコップにビールを注ぎながらそう言った。
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