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「うん。何?」
いただきます。と箸を掴み
目の前の料理へと箸を伸ばす。
今日は大好きなものオンパレード。
毎年店が終わった後 色々飲み食いしながら
二人で年越しをするんだけど
俺自身があまりおせちとかが好きじゃない。
なので大体 俺が店の片づけをしている間に
新が好物ばかりを作ってくれる。
今年は近所の魚屋さんに頼んで用意して貰ってた
刺身の盛り合わせ。唐揚げにとろとろの角煮。
自家製ぬか漬けにポテトサラダ。
水炊きの鍋がドンっと真ん中に置かれ
鶏と野菜の煮物は味がシミシミで これが毎年
ほんと楽しみなんですよね~。
新って洋食だけじゃなくて何でも作れるんだよな。
でも聞いたら最初は全然出来なかったって言ってて。
「手持ちの料理だけで勝負しようなんて
甘ったれた考えだったなって思って。
それからかな。結構色々作るようになったよ。
まあ。まだ全然だけどね。
特に和食は苦手意識があったから
分からない事は周りの人たちに聞いて。
そういう意味ではここはいいよね。
いろんなお店が近くにあって 飲食店の集まりも
あるから頼りやすいし 皆さんいい人だから
何でも惜しみなく教えてくれる。
それに自分で店やってるからメニューは自分で
考えられるじゃない。特にこういう小さい店は
バリエーション勝負かなって思うからね。」
何でもない事のようにそう言ってたけど。
あんた。そんなに簡単に出来ませんよ。普通。
この煮物は常連の奥様に教えて貰ったって
言ってたな。
すげえよなぁ。ホント。。
新は水炊きをよそって俺の前に置くと
うん。と頷いて腕を伸ばし 棚から何やら
紙を出してくる。
はい。と渡されて見ると図面らしき絵が
書いてあった。
へ。
「何これ。」
「来年。店を改装したいのね。
今はどうしてもバー形態の店構えだから
動線が悪いんだ。
で。スタンディングのスペースを無くして
カウンターを広げようかと思って。
週末出してるテーブル席数を考えてみると
L字カウンターにすれば いけるんだよね。
これなら一人でも大丈夫でしょ。
中も広げられるから涼が手伝ってくれる時も
出たり入ったりしなくていいしね。
改築費用も見積もり段階でそれ程じゃないし。
CEO。いかがでしょう?」
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