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そっか。 新らしいけど。 本人が一番したいようにしてやりたいし。 まあ。いっか。 「・・うん。わかった。 じゃあ。そうしようぜ。金は俺も・・。」 言いかけると 新はふるふると首を振る。 「これは俺がしたい事だから俺が出す。 涼が仕事を辞めた時に 移転するのか ここをまたもっとやりやすく改装するのか考えて その時はしっかりと払って貰うから。ね。」 案の定きっぱりと断られた。 そう言うだろうと思いながら言ってみたけど やっぱりな・・。 でもなあ。俺だって少しくらい。。 ぶつぶつと文句を言ってると 新はそんな俺の様子に くすっと笑い テーブルに肘をついて 反対の手で俺の前髪を さらっと掻き上げた。 「じゃあ。一つお願いがあるんだけど。 我儘。聞いてくれる?」 「我儘? ・・・うん。いいけど。」 新は我儘なんて滅多に言わない。 俺を困らせるのは エッチの時だけ。 改まってなんだろ。 手をぎゅっと握られた。 「改装工事ね。多分一週間くらいかかる。 最初と最後はある程度立ち合いも必要になるけど 中数日は空きが出来るんだ。 涼。この間 有休消化しろって会社に怒られてるって 話してたでしょ?」 ああ。まあ。 今は働き方改革とかで残業もそうだけど 休日はしっかり休みましょう。 有休もちゃんと消化しましょうなんてのが 主流になっていて。 「叶。代休もちゃんと取ってないよね。 結構目立ってるからなんとかしないとマズイよ。」 服部にもそう脅されていた。 橘課長には 「お前が休みを取らないと 下も取りづらくなる。 きちんと休暇も取って 仕事もしてが 会社の理想だからな。まあ。好き勝手やってる分 そういう所くらいは会社の言う事を聞いておいた方が いいんじゃないのか。」 笑いながらそう窘められてて。 休みたくない訳じゃないんですけどね。 どうしても今まで一人でやってきていたから 誰かに任せるってのが出来ない。 「お前に三沢をつけてるのはその為でも あるんだからな。部下の教育も仕事だぞ。」 ってこれは結構マジトーンで課長からの指摘・・。

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