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「ああ。うん。代休もなかなか取れてないし 有休に至ってはほぼ全部残ってるから この間服部にも注意されてさ。」 でも。それがなんだろ。 ・・って。 ああ。そうか。 ピンと来たのがわかったのか 新はニコッと笑みを浮かべ 握った手の甲に そっと唇をつける。 「久しぶりに一緒に旅行に行って欲しくて。 今まで行けても一泊だったでしょ。 出来れば二泊以上。それには涼に 長めに休みを取って貰う必要があるから。 さすがに海外は無理だけど それなら 遠出も出来るし 行きたい所があるんだ。」 「行きたい所?」 うん。と新は頷いて ちょんちょんと テレビを指差す。 大阪の舞台芸人が大人気のギャグを披露して 出ている他の芸人が爆笑してるシーン。 へ。 「アメリカに居た時は 色んな土地の 様々な料理食べたんだけど。 北部と南部で料理も味付けも全然違うんだよね。 日本も小さい国なのに土地土地で 食文化が全く違うでしょ。 前からすごく興味があったんだ。 この間 吉田さんが店に来て そんな話になって 大阪。凄い勢いで勧められてね。 美味しいお店いくつか教えて貰ったの。 涼も前に行った事あるって言ってたでしょ。」 吉田さんは近くの会社勤めのリーマンさん。 常連で 出身が向こうだからか 話がまあ。面白くて 俺も面識がある。 ・・って大阪かぁ。 確かに昔 出張で行った事があるけど。 「ああ。すげえ たこ焼き食ったなぁ・・。」 なんかハマっちゃって行くとこ行くとこ全部。 それに支店の人に連れて行ってもらった店も 「何喰っても旨かったイメージしか残ってない。」 そう言うと 新はいいなぁ・・。と呟いた。 え。 ああ それじゃあ・・。

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