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テレビ画面を指差す。 「俺。仕事だったから行けなかったんだよ。 舞台。見に行きたい。絶対に行きたい。」 大阪には笑いの文化がしっかり根付いていて 毎日ホールには人がわんさか集まるって聞いてる。 お笑い大好き。 でも漫才もコントもそれこそ新喜劇も 生で見た事が無くて いつか行きたいと 思ってたんだよな~。 あ。でも。 新へと視線を移すと テレビを見ながら 首を捻っている。 そうなんですよね。 なんせ中身外人だから。 スタンドアップコメディなら。とか前に言われて 漫談か?って見せたらそん時も首捻られて。 わかんないんじゃつまんないかな・・。 内心諦めかけ始めた時 新は俺へと視線を戻し ニコッと微笑んだ。 「行きたいって言うと思って 吉田さんに聞いたら ネットでチケットも取れるんだって。 お笑い好きなら一度は見ないとって言ってたよ。 お弁当付きとかもあるらしいし 合理的だよね。 行きたい所リストアップして予定組んで 美味しい物いっぱい食べる旅。どう?」 「どうって。俺はいいけど 新はそれでいいのか?」 なんで。とまた首を傾げる。 「涼が行きたい所は俺も行ってみたいし。 何がそんなに涼を惹きつけるのか 前から不思議に思ってたんだよね。 どうして俺はわかんないのかも。 わからない事はわかるようになりたいでしょ。」 当たり前じゃない。と日本酒をグビリ。 無理してるとかじゃないんだよな。 新って。 俺を理解したい欲求がいつも有り余る程。。 ホント どんだけ涼さん中心なんですかね。 有難い話だけどさ。

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