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歴史
「ただいま。」
涼介がいつものように店のドアを開けて
中に入ると 既に閉店時間を過ぎているのに
客が一人カウンターに座り ちらっと視線を向けた。
「おかえり。」
新は俺に向かってニコッと笑みを浮かべると
「もう閉店なんで。」
少し冷めた声音で 残っていた客へとそう言う。
珍しいな。
たまにウダウダ残りたがる客はいるけど
もっとやんわりとお願いして帰って貰うのに。
白髪の男性は頭を下げて 立ち上がり
俺へも会釈をすると そのまま店を出て行った。
なんだろ。
それに新が何処か不機嫌に感じる。
あんまり感情の起伏の激しい方じゃないんだけどな。
「なんかあったか?」
カバンを椅子に置き ネクタイを緩めながら
カウンターの椅子に座ると新はふるふると首を振る。
「何にもないよ。生ビールでいい?」
そう言って 返事も待たずに冷蔵庫から
冷えたジョッキを出した。
突っ込まれたくないって感じですかね。
まあ。それなら無理はさせたくない。
「お腹は? 軽く何か作ろうか?」
生ビールを注ぎ カウンターに出すと
新はそう聞いてくる。
「あー。いいや。雨宮さんとこで そこそこ
食わされてさ。」
ああ。そうなんだ。と言いながら
「あれ。雨宮さんの店って今日休みじゃなかった?
木曜定休日でしょ。」
不思議そうに 首を傾げた。
そうなんですけどね。。
ポケットから小銭を出し 貯金箱に入れると
涼介は生ビールに口をつけ ホッと息を吐きだす。
「いやさ。。」
今日あった出来事を話し始めた。
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