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で。 「まあ。とにかく最初嫌だ嫌だでさ。 三沢はハナから雨宮さんにビビっちゃってるし。 自分の撒いた種だからしょうがないんだけど パワハラで訴える余裕も無いくらい 完全に怖がっちゃってんですから。 挨拶に連れて行っただけで ガタガタ震えてさぁ。 とはいえ 課長もうちのチームをモデルケースとして 企画営業に力を入れていくとか 上層部に 提言しちゃってるし それには三沢も木崎も 他の連中も独り立ちしないとって ミーティングで ガンガン攻められてて。」 今のご時世 新規はなかなか取りにくい。 営業も自ら提案して仕事を取っていかないと 成り立たないとかなりの熱弁だったよ。 服部は笑いながら 上層部ミーティングでの 橘課長の様子を そう教えてくれた。 まあな。 それはそうなんだけど。 俺はいい。 ずっとそうやってきたし。 でも 面白く思わないヤツらは沢山いる。 あからさまに蔑む目線を向けられる事もあるしな。 誰しもが変化を求める訳じゃない。 とはいえ。 うちはやらなきゃいけないんですよ。 ね。 で。 十条の醤油を使っての試作開始。 でも 三沢はただひたすら 「美味しいです。」を繰り返し 「旨い訳ねえだろっ!」って雨宮さんがブチ切れ 俺と真島さんで顔を見合わせ項垂れるとゆー。 やらせると決めたからには口も出せないし ヤケクソで試作の焼き鳥をたらふく食ってきた。 「最初から上手くはいかないとは思ってたけど。 アイツはやっぱメンタルなんだよなー。」 怖がってちゃ味も何もわかる訳が無い。 それに・・。 「実家がシングルマザーらしくて。 かなり貧乏だったみたいで 大学も聞いたら 奨学金らしいんだよ。旨い物なんて 食べた事が無いから わからないってかなり 思い込んでるトコもあってさぁ。。」

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