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ああ。と新は複雑な表情を浮かべた。
「なかなかハードルが高いね。
雨宮さんいい人なんだけど 最初は怖いだろうし。」
何言ってんだ。
「嘘つけ。全然ビビらないだろ。お前。
あっという間に仲良くなっちゃってさ。」
初めて雨宮さんの店に連れて行った時
いわゆるイケメンを苦手としていて
普段より更に素っ気なかった雨宮さんに
あれやこれやと話しかけて。
「焼鳥って前から興味あってね。目の前で
焼いてくれる店も初めてだったから。」
一応 俺のツレだからと 波風は立てず
最初は適当に流していた雨宮さんも
その内 火がついて色々話しだし 最終的には
新を中に入れ 焼き方まで教えてやる始末。
「お前。筋がいいな。店潰したらうちに来い。」
なんて言われちゃって 今ではすっかり
俺抜きでもやり取りしてるくらい。
店で出してる肉や魚のグリルの塩の入れ方まで
相談に乗って貰ってた。
「俺はああいう人好きだけどね。嘘がないじゃない。
でも 若い子たちには難しいんだろうな。
この間 頼まれてた物持って行ったんだけど
その時も若い従業員怒鳴りつけてて
真島さんが必死に執りなしてたよ。
話を聞いた限りだと 雨宮さんの言ってる事は
尤もだったんだけどね。。」
ああ。あの子だな。
入って半年くらいの子。
今日も休みなのに借り出されたって
ずっとぶつぶつ言ってて 雨宮さんが帰れ!って
怒鳴り上げてましたから。。
いい修行になるとか思わないんだよな。
バイトならともかく 正社員らしいのに。
真島さんもそう思ってたから 呼んだみたいだけど。
「ああいう人の下で働けるなんて 幸せなのにね。
惜しみなく何でも教えてくれるし
俺からしたら羨ましいくらいだけど。」
新はそう言いながらゴクゴクとビールを飲み干した。
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