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被せる様に口を挟む。 立ち上がって 反抗心丸出しの山﨑さんと 相対するように近づいた。 「さっきもくだらないって言ってましたけど。 何がバカらしいんでしょうか。 俺は今 ワクワクしてます。勿論営業としては うちの製品使って貰えるかとか ホントはそっちを考えるべきだと思うんすけど でも もしかしたらこれで雨宮さんの店を 代表するタレが出来るかもしれない。 歴史がスタートするその場にいるんですよ。 そのタレが出来る過程に参加させて貰って その中でうちの製品が使われる。 こんなすごい場面に素人の俺が立ち会わせて 貰えるなんて普通じゃ有り得ないですよね。 あなたはこの店の従業員で いくらでも そういうチャンスが毎日転がってるじゃないですか。 雨宮さんが生み出す物全て近くで見れて。 そこに何も感じないなんて ソッチの方が よっぽどくだらないし時間の無駄だと思います。」 一気にそこまで言い切り はあ・・。と息を吐くと 檜垣さんはニコッと笑みを浮かべ はい。と俺にお茶を渡してくれた。 「あ・・すいません。ありがとうございます。」 お茶を一口飲むと 急にすっと背中が寒くなる。 ああ。ヤバイ。。 お店の従業員さんに向かって何てこと・・・。 「ああっ・・すいません!出過ぎた真似・・ 勝手なこと言って すいませんでしたっ!!」 またやっちゃった・・。 何にもしてないのに偉そうに。。 項垂れる様に深々と頭を下げる。 するとくすくすと笑い声がして え。と顔を上げると カウンターに肘をつき ニコニコと笑みを浮かべながら檜垣さんは俺を見て 「さすが涼の部下だね。涼がもしこの場に居たら きっと同じような事言ったと思うけど。 ね。雨宮さん。」 そう言って雨宮さんへ視線をずらす。 雨宮さんは口角を上げ ああ。と頷き 「歴史がスタートするは良かったな。」 ポンと俺の頭を叩き ニカっと笑った。

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