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「なので。説得とか出来ませんし
する気もありません。お断りします。」
すいません。と 立ち上がり 伝票を掴もうとすると
久米さんは素早く先に伝票を取り上げる。
ニコッと微笑み 黙って被りを振った。
なんか言い返されるかなって思ったけど。
まあ。
いっか。
「ありがとうございます。ご馳走様でした。」
礼を言って頭を下げると そのまま久米さんを残して
ファミレスを出る。
はぁーー。
良かったのかな。これで。
でも。どう考えても自分が言える事はあれくらい。
正解かどうかはわかんないけど。
まあ。しょうがないよな。。。
ため息をつきながら電車に乗り 最寄り駅で降りて
商店街を抜けると 店が見えてくる。
今日は定休日だからライトは点いていないけど
ああ。帰ってきたなってホッとするんですよね。
新の店でも 俺にとっても大事な居場所。
はいそうですか。
なんて簡単に手放せるものじゃない。
さて。
久米さんに会った事はとりあえず黙秘。
隠し事苦手なんだけどな。
新。鋭いし。。。
パンパンと頬を叩き 店のドアを開けた。
「ただいま。」
新はカウンターの中からニコッといつものように
笑みを浮かべる。
「おかえり。」
そう言ってカウンターの上に乗る
ビニール袋をツンツンと指差した。
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