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「今 思い返すとさ。俺の反論。嬉しそうに
聞いてたんだよ。そん時はなんで何も
いい返さないのかなって思ったんだけどさ。
もしかしたら お前の頑張ってる様子聞けて
嬉しかったのかもなって思って。」
そう。
ホントはそれが目的だったんじゃねえのかな。
俺を見定めるのと同時に 新が今どうしてるのかを
久米さんは知りたかったのかもしれない。
「雨宮さん達が頑張ってるのを応援したい。
それって権利もへったくれもねえじゃん。
お前だってそんな風に考えもしないで
何か出来ればって差し入れしてたんだろ?
久米さんも 例えそれが仕事でもさ。
やっぱりお前の為に何かしたい。
ちゃんとやってるか心配だって思ってたんじゃ
ないのかなぁ。って思いましてね。
今日だってさ。バレるの分かってて顔出したのは
お前に 良かったなとか。頑張れ。とか
言いたかったからとかじゃねーの?
それは多分。血は繋がってないにしろ
親心みたいなヤツなのかなぁ。。ってさ。
どっちかって言うと オカン寄りだけど。」
な。
ポンポンと頭を叩くと 新は唇を噛み締めた。
わかってんだよな。
俺に言われなくてもさ。
新は黙ってモグモグと焼鳥を食べ続ける。
全部綺麗に平らげ ロックをグイッと飲み干すと
「涼。。我儘聞いてくれる?」
ぎゅっと俺の手を握った。
「新さん。最近我儘多くないですか?」
今まで全然言わなかったのに。
熱出してからかな。
なんか更に距離が近づいてる。
新に甘えて貰えてる気がして内心すごい嬉しい。
とはいえ 一応文句は言ってみる。
ワザと唇を尖らせると チュッと新はキスをして
「お願い。」
俺の顔を覗き込んだ。
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