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「良かったなぁ。久米さん喜んでて。」
湯船の中で ぴゅっぴゅと水を飛ばしながら
背中をくったりと俺の胸に預け 涼はそう言った。
「うん。」
頷くと 顔をこちらに向け にかっと笑う。
「なんだよ。新さん。まだ恥ずかしいんですか。」
揶揄う声音に つい顔をしかめると
嘘嘘とポンポン頭を叩かれた。
もう。。と濡れた髪を掻き上げると
くすくす笑われる。
シャワーを浴びながら一度交わり
涼の瞳は色っぽく濡れていた。
涼に態度を咎められ 話を聞いてもらい
久米が今までしてくれていた事は
仕事だったからだけじゃないと気づかされて。
・・ううん。
違うな。
内心わかってた。
この人は本当に俺を心配してくれていて
一生懸命色々と考えてやってくれてるって。
ガキの頃から気づいてた。
でも。所詮他人だし。同情で。
早く親からの援助なしで独り立ちしたい。
ただそれだけを思ってたから。
この店を継ぐ事にして 親子の縁を切って
久米ともこれで無関係になる。
正直 ちょっと寂しかったけれど。
しょうがない。
他人なんだからって。
親父の会社の人間だ。
だからその後も色々と面倒見ようとするのを
頑なに断り 連絡にも一切返事をせず
ある日を境にぷつりと連絡も途絶えた。
だから久しぶりに姿を現して 動揺して。
何しに来たんだろうって。
親父が何か邪魔しに来たのかって。
そんな事まで勘ぐって・・・。
まさか。俺を心配して様子を知る為に
涼と会っていたなんて。
考えてもいなかった。
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