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涼に血は繋がってないにしろ親心みたいなヤツじゃ ないのかなぁって言われて。 胸がドキンとした。 もしそうだったとしたら。 俺の取った態度はどれだけ思いやりが無い物 だったんだろう。 それくらいの想いで俺と向き合ってくれていたのに 俺はずっとソッポを向き続けて。 「そりゃ。恥ずかしいよ。 自分の器の小ささを涼に知られちゃったんだし。 カッコ悪いでしょ。もうカッコ悪いトコ 見せたくないってずっと思ってきたのに・・。 でも。涼にはっきり言って貰わなかったら 自分で認められなかったと思うし 久米に 作った物食べさせようなんて思わなかったから。 ずっと向き合わないで来たからね。 涼のおかげで少しは感謝の意を示すことが 出来たのかなって思ってる。ホントにありがと。」 正面から抱きかかえて おでこをコツンと合わせる。 珍しく涼から唇を押しつけてきて そっと離れると 嬉しそうにニコッと微笑んだ。 「ポークソテー。マジで旨かったしな。 焼き加減もさることながらあのソースが秀逸で。 久米さんもびっくりしてただろ。 雨宮さんの仕事を見てヒント貰ったって言ってたの あれだったんだな。」 そう。 今まではバルサミコ系のソースにしていて。 でも好みが割れるのが気になってた。 焼鳥のタレが重要なように洋食はソースが大事。 玉ねぎとフォンで作るソースに変えてみて。 普段作っているフォンドボーよりも 果物の量を増やしフルーティーに。 煮詰める事でコクを出す。その加減が難しくて ずっと取り組んでいたんだけど。 久米は嬉しそうに料理を平らげ 食い終わると涙を浮かべて頭を下げた。 「とても・・。とても美味しかったです。」 そう言ってくれて。

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