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「・・有難うございます。これ以外にも 色々とメニューがありますので 良かったらまた食べに来てください。」 なんとかしゃっちょこばってそう伝えると 久米は目を見開いて。 「よ・・よろしいのですか。」 隣で涼がニヤニヤしてて恥ずかしくて。 もう。 絶対楽しんでる・・・。 それでもちゃんと自分で口にしないと。 我儘聞いてくれた涼の気持ちに応える為にも・・。 「・・いいに決まってるでしょ。 日本に戻って来た時は寄ってってよ。 もっと美味しい物出せる様に頑張るから。」 普段の口調に戻し そう言うと 久米は嬉しそうに はい。と頷いた。 本当にこの人は俺の事を想ってくれてる。 改めて実感したし。 今までの心の中のしこりが少し解けた気がした。 「この間は失礼な態度取ってごめん。 俺は涼と一緒にこれからも頑張っていくから 心配しないで。仕事抜きで飯。 また食いに来て下さい。」 ぺこりと頭を下げると久米はボロボロ泣き出して 涼が慌ててナプキンを渡す。 「もー。あんまり泣かさないで下さいよ~。」 そう言って3人で顔を見合わせくすくすと笑った。 嬉しかった。 本当に。 嬉しかったな・・・。 「涼に助けて貰ってばっかりだね。」 そう言うと 俺の髪を弄って遊んでいた 涼は ん?と視線を俺に戻す。 「なんで。別に助けてなんかないだろ。 なるようになっただけでさ。 旨い料理ってのは長年の軋轢をも一気に失くす やっぱすげぇなぁって感心しましたよ。ホント。」 な。 ニッコリ笑う口を塞ぐように唇を押しつけた。 もう。 無理。

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