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雨
どんよりとした空から しとしとと
冷たい雨が降っている。
走り去った電車の残像を見ているかのように
新は一人じっと佇んでいた。
その背中が寂しそうで。。
こういう時って。
なんて声かけたらいいんだろうな。
・・いや。
なんも言わなくていいのか。
うん。
涼介はゆっくりと近づき 新の横に並ぶ。
ぎゅっと手を握られ見上げると
眼鏡越しの瞳がじんわりと潤んでいるのが目に入り
胸がきゅっと苦しくなって自分の視界も歪み始めた。
そんな俺の様子を眺めながら 新はぽつりと呟く。
「・・泣いてやろうよ。泣いてくれる人が
いるってわかったらきっと喜ぶから・・。」
そういう新の声も震えてる。
・・うん。
そうだな。
きっと 本人も泣いてるかもしれないしな。
握られた手を力強く握り返し
零れる涙をそのままに 既に見えなくなった姿を
見送るように二人でその場に立ち続けた。。。
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