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「いつか一緒に店やる時の準備にね。 休みの日だけ無理ない程度に手伝ってくれてるんだ。 ランチだけでいいって言ってるんだけど 最近は夜も忙しい時は手伝ってくれて。」 新が空になった水割りのグラスを引き上げ すぐに新しい物を差し出すと 茂さんはニコッと笑みを浮かべた。 「ああ。そうなの。それは良かった。 あのバカが涼ちゃんに手を出そうとして 大騒ぎになってから一切お店には出さないって 聞いてたから 休みに一人もつまらないかと 心配してたのよぉ。」 茂さんも新激怒事件を知ってる。 元々は茂さんの店のお客さんで 新の店もそういう店だと思っていたのか 俺との関係を知らずに ちょっかい出してきて。 「誰が見たって新ちゃんの大事な子だって わかりそうなものなのにねぇ。 ホントバカなんだから。あの子。どこでも 評判悪くって。最近は噂も聞かないけど。」 茂さんの言葉に新は苦笑いを浮かべる。 出禁にしてからは確かに一度も来ないらしいしな。 こっちの人達はどうしても店で相手を探すことが 多いから まぁ。そう思うのもわかるけど 俺は行った事がないからびっくりしちゃって・・。 ね。 「涼ちゃん。可愛いからねぇ・・。」 ちらっと視線を向けられ 茂さんはにやっと笑う。 可愛いって言われて男として喜ばしいか どうかはわからないけど 新もよく可愛い可愛い 言うから大分免疫は出来た。 とはいえ。 そこそこ複雑ではありますけどね・・・。 「でも。今のこの店なら心配は無いわよね。 そっかぁ。一緒にお店をね。。」 感慨深げにそう言いながら茂さんは うんうん。頷き またバカでかい口を開け ガブリとバゲットに食らいついた。

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