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「涼。もう閉めるから座って。」 新はカウンターから出て ドアに向かう。 「あら。じゃあ。。」 「大丈夫っす。せっかくなんで一緒に飲みましょう。 久しぶりなんですから。あー。腹減った。」 エプロンを取り椅子に放り投げて茂さんの横に座ると いいのかしら。と困りながら それでも嬉しそうに頬を緩めた。 そっち系の常連さんとはそんなにも今まで 話した事は無い。 でも茂さんと茂さんのお店で働いているマキさんは 何度か話してそれなりに仲良くさせて貰ってる。 新の大事な恩人だもんな。 今でも来れば最上級のおもてなしをしてるのも 知ってるし それに・・。 戻って来た新もカウンターの中から ちらっと意味深に俺へと視線を向ける。 そうなんだよな。 茂さんがこの店に来る時はいつも一人じゃなかった。 必ずスギさんってパートナーの男性と一緒。 あまり社交的ではないのか不愛想で ほとんど喋った事も無かったけど・・。 新も心配してるんだよな。 だけど。まあ 正直聞きづらい。。。 新も聞こうかどうしようか悩んでる風で。 まあ。それもあって引き留めようと してんだろうなって思ったんだけど・・。 何か用事があって一人なのかもしれないしな。 そうそう。という意味を込めて 大丈夫だと 新に向かって無言で頷くと 同じように思う事にしたのか新もコクンと頷いた。 俺に生ビールのジョッキを出してくれて 夕飯代わりに好物の唐揚げを揚げてくれる。 最近は揚げ物出したら 必ず野菜もと キャベツの千切りもサラダも大盛り。。 「涼仕様の唐揚げ。店では出してないから 茂さんも食べていって。」 新がそう言いながら 茂さんの前にも唐揚げを出すと いやーんと身をくねらせた。

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