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「この時間の揚げ物は危険よ〜。
でも。美味しそうね。いただきまぁす。」
女子っぽい口調が一切似合わないオッさんが
デカイ口でパクッと唐揚げを喰らう。
ハフハフしながら 茂さんはニコッと
笑みを浮かべた。
「美味しい〜。ガッツリニンニク効いてるわねぇ。
新ちゃん。また腕あげたでしょう。
ちゃんと涼ちゃんの好みに仕上げてるのが素敵!」
クネクネと身をくねらせながら バクバク食べる。
こんだけ食欲あれば何でもないかな。
新もホッとしたのか 自分用にバーボンのロックを
作り グラスに口をつけた。
それにしても。。
ね。
「新さん。いくらなんでもキャベツ多過ぎ。。」
唐揚げの数倍高く盛られたキャベツへと目をやると
新はふるふる首を振った。
「ダメ。この間の健康診断 中性脂肪の数値
高かったでしょ。揚げ物もホントはダメだけど
手伝ってくれたのに可哀想だからサービス。
その分 野菜食べないと。ね。」
「高いったって基準値ギリだったろ。
別に今すぐどーこーじゃないし。。」
「すぐに超えたらどうするの。好きな物食べても
いいから その代わり野菜も摂るって約束。
ああ。またそんなにドレッシングかけて。。」
ドレッシングをかけたキャベツの上にまた
ドサッとキャベツを盛り付ける。
えーっ
「虫じゃないんだからっ。」
「いいから食べる。食べないなら唐揚げも
没収するけどいいの? どうする?」
新はひょいと唐揚げキャベツ鬼盛プレートを
俺の前から取り上げた。
ああ。。
それは。。
しばらく睨み合いが続き 食べます。と頭を下げると
新は勝ち誇ったように皿を戻す。
くすくすと茂さんは笑い出した。
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